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農商工連携の今(14)未利用柿、調味料で活用

福岡県の甘柿生産量は全国1位を誇る。一方で傷んで捨てられる未利用柿は生産量の約3割を占める。発酵が早く熟しやすい柿の活用法は柿酢など限定的で、処理費用は生産者の経営を圧迫している。そこで県内企業が共同出資し、未利用柿の活用を広げるベンチャー企業を2008年に設立した。生産者だけで対処できない課題に地域の連携力で立ち向かう。

「地元の特産品が大量廃棄される現状をなんとか打開できないか」。未利用柿の加工技術を開発したバイオボックス(福岡県小郡市、須田博社長、0942-72-8334)の井上忠男取締役は狙いを語る。07年に福岡県産業・科学技術振興財団の補助事業認定を受け、研究が加速した。柿の熟度や品種に関係なく加工できる技術を確立した。

08年2月にはしょうゆメーカーの若竹醤油(福岡県久留米市)や、柿生産者など地元企業が出資して元山(同)を設立した。若竹醤油の醸造設備を利用してシロップやピューレを製造している。

福岡県工業技術センター生物食品研究所の調べで柿シロップの性能の高さもわかった。血圧抑制効果があるGABAや動脈硬化の防止作用がある成分が豊富だった。井上取締役は柿シロップを生かした機能性食品の商品化を検討した。ただ、九州で農商工連携を後押しする橘高公久九州経済産業局長が「九州は優れた食品が多いが、売り先を確保できるかは大きな課題だ」と指摘するように、井上取締役も「中小企業が販路を広げるための広告費用は膨大で、ハードルも高い」とし、「柿本来の特徴を生かした事業展開を図ることにした」という。

柿シロップは甘味度が高いが、一方で味や香りが少なく特徴がない。だがそのことが逆に大きな特徴になると考えた。「柿は食材のうまみを引き出す作用がある。どんな材料にも合う『味の素』のような調味料にしたい」(井上取締役)と期待する。若竹醤油はシロップを利用した調味料を発売したほか、山口油屋福太郎(福岡市南区)はせんべいを発売するなど利用は広がっている。

バイオボックスは09年6月に柿の加工法について国際特許を出願。井上取締役は「海外は(人工甘味料の)ステビアなどの市場が拡大しており、世界に向けて柿シロップを展開していきたい」と力を込める。福岡発の柿が世界の食材のうまみを引き出す日は決して遠くない。


【2009年9月7日 日刊工業新聞社】