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農商工連携の今(12)新潟産木材で額縁−障害者の就労も支援

 新潟県では、県内産の木材を使い、写真や絵画などを入れる額縁の製造販売を行う取り組みが始まっている。「何かほかと違った新しい額縁はないか」。額縁の製造販売を手がけるアートナカムラ(新潟県長岡市、中村一政社長、0258-24-8802)には、取引先の大型量販店からこのような要望が以前から寄せられていた。

 同社は要求に応えようと試行錯誤。変わったところでは、流木を材料に用いた額縁制作も検討したが、虫が多くうまくいかなかった。そんな中、「ふと周囲を見回してみたら、木の枝はまだ試していないことを思いついた」。中村政志営業部部長は後に連携に発展するきっかけをこう語る。

 試作をしてみると、枝は同じ形がなく、完成品はすべて1点もので「意外に良い出来だった」(中村部長)。しかし一つ問題があった。材料の確保だ。これまで海外の木材を使用していたが、輸入されるのは幹の部分だけ。「どうせやるなら国内産で差別化を」(同)という思いから、桐(きり)たんすの産地として有名な新潟県加茂市の木材業者を訪ねたところ、同津南町の桐が使われていることが分かった。通常、桐の使用は、幹の部分のみで、枝は焼却したり薪にしたりしていた。それならば額縁材として使いたいと申し出、材料供給などで津南町森林組合(新潟県津南町)と連携した。

 桐の乾燥の仕方や色付けなど何度も繰り返した末に試作品が完成した。2009年初めごろ、以前から取引のあった東急ハンズの新宿、池袋、渋谷の各店に置かれた。

 反応は上々で、初回納入分はすぐに掃け「大量注文がきた」(中村部長)。6月から本格的に全国販売を開始、目新しさが受け好調で、工場はフル操業を続けている。13年度に売り上げ2000万円を目標に掲げている。

 連携には、就労を希望する障害者に訓練を行う施設、みのわの里工房こしじ(新潟県長岡市)も参加、額縁の組立作業を担っている。障害者の就労支援という社会貢献の意味合いも持つ。

 桐のほか、新潟県が定めた品質・性能基準を満たした杉材「越後杉ブランド」を使用した額縁製作も同時に進めている。ただ、材料の安定調達などで課題があるとし、本格化はこれからだ。

 国産、新潟県産の材料にこだわって作る額縁。「できるだけ多くの人に使ってほしい」(中村部長)と全国的な広がりを期待している。


【2009年8月24日 日刊工業新聞社】