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JR宇都宮駅に餃子村オープン−市街地再生の原動力に

 レトロな屋台で街に活力を―。JR宇都宮駅東口前に「JR宇都宮駅東口餃子村駅前横丁」がオープンした。宇都宮市内の屋台村は2004年の「宇都宮屋台横丁」、今年6月の「東口屋台村」に続いて3カ所目。市は中心市街地の空き店舗問題に対応するため、具体案として「屋台村構想」を打ち出している。昭和のイメージを醸し出す屋台を通じて人の交流を増やそうという。屋台で街の再生に取り組む関係者の姿を追った。(栃木・杉浦武士)

【昭和の路地裏】
 一歩、屋台村に足を踏み入れると、まるで昭和の路地裏。約270平方メートルの2階建ての建屋には12店舗がぎっしりと並ぶ。ギョーザをジュージューと焼く音やおでんの香りが漂う中、ビール片手に会話を楽しむ客の姿が目立つ。餃子村駅前横丁を運営するタクマコンツェルンの本沢拓真社長は「屋台は古くから日本の文化に根付いてきた。昔なつかしい雰囲気で楽しめる作りにこだわった」と話す。

 すでに市内には宇都宮屋台横丁、東口屋台村がオープンしている。年間の来客見込み数は3店の合計で約50万人。それだけに集客争いも予想されるが、「街の活性化が目的。お互いに共存してやっていきたい」と各店舗とも声をそろえる。

 屋台村が相次いで開設している背景には中心市街地の空洞化問題がある。バブル崩壊を契機に、福田屋百貨店をはじめ、大型商業施設が郊外に次々に進出。一方で中心市街地にあった西武百貨店に続き、駅前立地のロビンソン百貨店などが相次いで撤退した。このため商店街では空き店舗が増え、現在100もの店舗が未使用のままだ。

 市はこうした問題に対応するため、中心市街地活性化に専門に取り組む「宇都宮まちづくり推進機構」を99年に設立。02年には具体案として「屋台村構想」を検討していた。

 このプランに賛同したのが屋台村を運営する村上の村上龍也社長だ。村上社長は「県外を訪れるたびに、宇都宮がほかの街より活気がないと感じていた。街の再生には人と人との交流が重要」との思いから同機構や市などと協力。04年に宇都宮屋台村横丁をオープンした。

【自然に会話が…】
 泥臭い人間関係の創出に徹底的にこだわり、店はあえて狭い造りとした。込み入った空間だからこそ、何げない会話が自然に生まれると考えたからだ。現在では平日夜になると、仕事帰りの会社員らで賑わい、年間約18万人が訪れる。

 街の再生という思いは6月に開業した東口屋台村でも同じだ。運営する小堀晃一ホットサービス社長は「市内で遊びにいくとなると、西口しかなかった。生まれ育った東口を何とか活性化させたかった」と話す。同屋台村は他の2施設と違ってジャズバーやカクテルバーなどエンターテインメント型の屋台。若者をターゲットにしており、すでに月約5000人が訪れ、滑り出しは順調だ。

 とはいえ、2000台規模の広大な駐車場を備え、映画館などもそろえる郊外の大型商業施設から人を呼び戻すためには「郊外にはないものを提供する必要がある」(本沢社長)。この点、村上社長は「屋台には知らない人同士がいつの間にか仲良くなれる人間関係を生み出す場になる」と強調する。


【2009年8月12日 日刊工業新聞社】