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農商工連携の今(11)宅配でFC事業も展開−椎茸の菌床販売

 キノコの中で椎茸(しいたけ)は、比較的早くから人工栽培が普及した。クヌギやシイなど広葉樹の原木(ほだ木)にシイタケ菌を植え付け、数年間かけて採取する。徳島県や大分県をはじめ全国各地で栽培され、日本の優良種菌が不正に海外へ持ち出されるような事件も起きている。

 ほだ木に代わって木材チップなどを固めた菌床による栽培も行われ、最近は原木と菌床で栽培した椎茸が市場のほとんどを占める。椎茸にエヌシーオート(大阪府豊中市)の西田長太郎社長が関心を持ったのは、肉厚で傘の直径が20センチメートルもある見事な椎茸に出会ったのがきっかけ。菌床にいくつも重なるように生えたものは、そのまま会食の席やパーティーのデコレーションになり、その場でもぎとって食べられる。大きな傘に具を載せ味付けしてお好み焼き風に焼けば、ジューシーでボリュームたっぷりだ。

 椎茸ジャパン(豊中市、西田長太郎社長、06‐6866‐2838)を設立し、自動車販売・車検整備などを行っている5階建て本社工場の一部を使い、温・湿度管理できる椎茸栽培の部屋を確保。「なにわ椎茸」の栽培を始めたのが2年前だ。

 その後、栽培した椎茸を加工・販売するフーズバンクインターナショナル(豊中市)をパートナーとして、農商工等連携事業計画へ申請。2009年7月に認定された。

不況により都市近郊でも目立ち始めた空き倉庫などで、すぐに事業化が可能。地産地消による地域活性化や、雇用確保などの面からも評価された。

 「なにわ椎茸」はナラ材などのチップに米ぬか、ふすま、海草などを混ぜた独自の菌床(大きさ約22センチ×約12センチ×約20センチメートル)を数カ月間、里山などの自然環境に置いて、発芽する寸前まで菌糸を育成。これを温・湿度管理した部屋へ運んで約2週間。採取できる状態に育てて出荷する。

 菌床から成育した状態で宅配などを行うほか、大量に収穫したものを生や乾燥状態で販売もできる。もぎ取るばかりに育った椎茸を、保冷庫装備の車で宅配するフランチャイズチェーン(FC)事業も展開していく。

 フランチャイジーは発芽直前の菌床(価格3000円)を仕入れ、デコレーション椎茸や加工椎茸にして販売する。菌床と針金枠、ビニール袋をセットした栽培キットは家庭でも簡単に栽培でき、「子供たちの自然教育や安心、安全な食を考えることにもつながる」(西田社長)と見る。


【2009年8月10日 日刊工業新聞社】