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農商工連携の今(9)チョウザメをブランド化

 旭化成発祥の地として知られる宮崎県・延岡市。同市の北部、北川町で昨年夏チョウザメの養殖が始まった。チョウザメといえばその卵を塩漬けにした珍味・キャビアが有名。地元の製造業者らで作る宮崎県工業会県北地区部会(清本英男会長=清本鐵工社長)は、この養殖事業を支援するとともに、チョウザメの地域ブランド化を目指している。 2007年、延岡市と同部会は「延岡市工業振興ビジョン」を策定した。宮崎県でも有数の工業都市となった同市だが、今後の成長のためには付加価値の高い新事業の創出が求められている。そこで農林水産業などの1次産業と工業の連携が大きなテーマとして浮上してきた。

 県北地区部会は一次産業連携分科会を発足し、具体的なテーマ探しに乗り出した。そんな中、同市内で介護事業などに携わるメープルウェルフェアーサービスの小野丸美社長がチョウザメの養殖に乗りだした。独自性の高い食材に対して、工業会がどのように携わっていけるかという模索が始まった。

 今年7月上旬には地区部会のメンバーらが北川町の養殖場を訪れた。2000匹を成育しているという水槽に関係者らは熱心に見入った。えさのやり方や雄雌の見分け方、水温管理などについての質問が飛んだ。

 キャビア採取後の雌と雄の魚肉は食用に利用できる。小野社長によれば「癖がなく、強いていえばヒラメのような食感」だという。地元の食品加工業者らがこの肉を使った生ハム、フィッシュバーグ、薫製などを製造する計画もある。

 分科会の吉玉典生委員長(吉玉精鍍社長)は「養殖や加工に必要な設備などでわれわれの技術が生かせるのでは」と、今後の養殖事業を見守っていく姿勢を示した。また小野社長も「腹を切らずにチョウザメの雄と雌を見分ける方法はないだろうか」と、工業技術の活用に期待を寄せた。

 生産体制の拡充やそれに伴う稚魚の確保が、今後の課題となる。小野社長も「少なくとも5―6人で養殖をしていく体制が必要」と、事業の広がりに期待を寄せる。

 延岡市の地場産業グループがチョウザメをモチーフにしたイメージキャラクターづくりに乗り出すなど、地元の期待は高まっている。チョウザメは成長までに7年を要するという。延岡のチョウザメが大きく成長する今後数年間に、農工関係者の連携がより一層深まることが望まれている。


【2009年7月20日 日刊工業新聞社】