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地域資源活用チャンネル

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新・今創人/山形鉄道社長・野村浩志さん

 会社員時代、愛車を駆って、ローカル鉄道の駅舎などで自作の絵を展示した。また駄菓子屋を開くなど、鉄道を一つの舞台として地域ににぎわいを生む活動に取り組んだ。鉄道とは昔から"縁"があった。ただ「自分が社長になるとは夢にも思わなかった」。今年1月から1カ月間、ある鉄道会社が社長を公募した。転機は突然だった。

 4月、社長に就任したこの会社は、山形県のフラワー長井線を運営する山形鉄道。同社は山形県と沿線自治体などの出資で88年に設立された第三セクターで、旧国鉄長井線(赤湯―荒砥間30.5キロメートル)を引き継いだ。最近では映画「スウィングガールズ」の舞台で注目を集めた。だが沿線周辺の人口減少などで経営環境は厳しく、営業開始以来当期赤字が続いている。旅行会社出身の新社長の行動力に新たな展開を託した格好だ。

 すぐに応募を決めたわけではない。家族の反対などもあり、最後まで悩み抜き、結果、面接などを経て社長に選ばれた。観光鉄道化は目的ではない。鉄道を維持するための一つの手段だ。通学などの定期外に安定収益を生み出し、いかにして「地域の足を守るか」。原点を忘れずに知恵を絞る毎日だ。

 今ある地域資源を使って全国から注目される鉄道になる。すでに、同社は沿線をディズニーランドに見立てて案内する「フラワー長井線ランドマップ」、「日本一なが〜いカレンダー」など独自のグッズを持つ。フラワー長井線の存在を高めるには「山形、東北全体をもっと知ってもらわなければ」。各方面との連携で地域の活性化を目指している。(文、山形支局長・大矢修一)

【略歴】のむら・ひろし 駒沢大学文学部卒業後、91年に読売旅行入社。大宮営業所、山形営業所次長、同所長を経て、08年11月から東北・北海道合同企画グループ係長。09年4月から山形鉄道社長。埼玉県出身、41歳。


【2009年7月17日 日刊工業新聞社】