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農商工連携の今(7)しょうゆ用小麦を生産

 ヒガシマル醤油(兵庫県たつの市、淺井昌信社長、0791‐63‐4567)は、淡口(うすくち)しょうゆ醸造に適した完熟小麦を生産するため、1999年からJA全農兵庫県本部、JA兵庫西、たつの市、農家と連携した農商工連携の新しい取り組みを開始した。海外産から国産小麦100%に切り替えるにあたって、「原料から安全なしょうゆ作りにこだわりたかった」と淺井良昭CSR推進担当部長は当時を振り返る。

 いかに意欲を持った生産者を集めるかが、最優先の課題だった。農家と接点のなかった同社はJA兵庫西に協力を求め、地元穀物卸大手の高田商店をコーディネーターとして農家の選別に取り組んだ。

 生産で目指すのは、たんぱく質含有率の高い完熟小麦。一般小麦は10%前後だが、12・5―13%が目標だ。兵庫県農林水産技術総合センター、龍野農業改良普及センター、たつの市農林水産課の主導で栽培方法を確立した。

 土作り、種まき方法、肥培管理、適期収穫などの栽培方法を詳細に定めた"高品質完熟小麦栽培こよみ"に従って生産する。この方法による生産は通常より手間がかかるため、全量を買い取り安定収入を約束することで、小麦栽培に熱意のある約80の生産者(農家・団体)と契約を交わした。

 02年にテスト栽培を開始した。作付面積15ヘクタールで50トンを収穫した。期待通りの品質を確保できたため03年から作付面積を拡大、07年には作付面積500ヘクタール、収穫1500トンに達した。「みんなで圃場(ほじょう)を巡り、お互いの品質を確認しあうことで生産意欲を高めていった」(中田佳幸製造部副部長)と話す。

 土質が合わずに脱落した農家もあったが、08年は500ヘクタールで1800トンを記録した。この収穫はヒガシマル醤油の年間使用量の25%に相当する。「今後は作付面積は増やさず、新種作付けや生産性の向上に取り組む」(同)方針。

 普通小麦の収穫は6月上旬で、収穫後田植えの段取りに入る兼業農家が多い。ところが完熟小麦は収穫時期が6月20日前後と遅く、田植え時期を逸してしまう。これでは稲作ができない。そこで小麦↓大豆↓米の輪作を提案、2年周期で3品目を生産する。

 この定着を目指し、05年から高たんぱく米、06年から大豆の栽培試験を開始した。小麦が軌道に乗った今「これから大豆の商用化に取り組む」(淺井部長)計画だ。


【2009年6月29日 日刊工業新聞社】