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農商工連携の今(6)無毒のトラフグ活用−コラーゲン抽出、デザートに

 佐賀県の西北、東松浦半島最北端にある唐津市呼子町。複雑な入り江が作り出した天然の良港は海の幸が豊富。なかでもヤリイカやスルメイカ、ミズイカの水揚げ量が多く、2007年度は約335トン。イカ刺しにてんぷらと食通をうならすレストランが海沿いに軒を連ね、一夜干しが所狭しと並んでいる。新鮮なイカを目当てに観光客が押し寄せる夏本番も間近に迫っている。

 その港町でイカを使ったヒット商品「いかしゅうまい」を開発したのが萬坊(佐賀県唐津市、太田善久社長、0955-82-4888)。考案した太田社長は「お客さまに年間を通しておいしいイカを提供したい一心でつくり上げた」と話す。1983年には海中レストランもオープン。新鮮なイカを提供するとともに安定した年間収益を確保するため、水産加工品開発にも力を入れた。

 その商品はいかしゅうまいやまんじゅうなど約22種類。レストランや百貨店、通信販売など広く商品展開し、08年9月期の売上高約18億円のうち約7割を加工商品で占めるまでに育った。

 「中小企業は潤沢な資金を持っているわけではない。まして地方の漁港町で事業するには豊かな水産資源を活用し、他部門と連携した商品開発が何よりも大切」(太田社長)と話す。

 そこで新たに開発したのがデザート商品「ふくこら美人」。いかしゅうまいの食品製造技術を応用し、トラフグの皮や軟骨などから海洋性コラーゲンを抽出して商品化した。白・黒ゴマ、抹茶味3品を08年6月に発売。「首都圏を中心に約1万セット販売し、評判も上々」(同)。コラーゲンのプルプル感がたまらない新感覚のこだわりデザートとか。

 同商品は長崎大学などと共同で研究を続けてきた、無毒のトラフグを活用。トラフグの稚魚を陸上養殖し、成育後に食品製造施設で加工してデザートに仕上げる。養殖施設は沖合からくみあげた海水を浄水システムで滅菌処理するなど、徹底した水質管理を行っている。

 連携を組むのは佐賀県のほか、まんてん(佐賀市)、長崎種苗(長崎県佐世保市)、佐賀県中小企業団体中央会(同)。太田社長は「(デザート製品で)11年度8000万円の売り上げを目指している」。

 トマト、甘夏柑(あまなつかん)、えだまめ味3種を発売した。同社の商品開発はこれからも目が離せない。


【2009年6月22日 日刊工業新聞社】