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観光庁、09年度版白書−円高響き米・韓など失速

 昨秋、国土交通省の外局として発足した観光庁が、早くも正念場に立たされている。観光庁の09年度版観光白書(08年度状況および09年度施策)によると、訪日外国人旅行客数は前年並みを辛うじて確保したものの、日本人海外旅行客数は2年連続で下落。庁発足と時期を同じく発生した米国発世界同時不況のダメージは予想以上に長期化する見通しだ。当初簡単にクリアできると思われた目標数字の達成も楽観はできず、その役割が改めて問われている。

 政府は訪日外国人旅行者数の目標を2010年までに1000万人、2020年までに2000万人と掲げて着実に数字を積み上げてきた。だがそれまで堅調だった訪日外国人客数は昨秋からの世界規模の景気低迷を受け一気に減少している。

 03年に521万人だった外国人旅行者は07年に834万人と、ここ数年堅調に推移してきた。昨年も夏までは中国、香港などアジアを中心に取り込んでいた。政府が外国人旅行者を増やす「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の重点市場と位置づける台湾、中国、香港、豪州などは年間で過去最高を記録したが、従来の"お得意様"である米、英、韓国などは円高で後半大きく失速した。

 さらに燃油高騰が追い打ちをかけた。最終的に08年は前年並みの835万人を確保したが、上期の勢いを下期の落ち込みで打ち消した格好だ。

 内需拡大への寄与が期待される観光産業だが、日本人の観光に対する意識が低迷要素になっている向きもある。国内旅行に関する考え方では経済的要因、時間的要因による影響が大きい。経済的には所得減少や貯蓄優先により消費に回る資金が減っている。高齢層も定期収入減少と資産価値低下の影響を受けている。時間的には休暇の減少、同行者や親子の休暇の不一致、高齢者は定年延長による余暇時間の伸び悩みといった影響もある。

 海外旅行についても「海外旅行と国内旅行は別として比較対象としない」と約8割が特に海外と国内を分けて考えない傾向が出ている。また全体の約7割が「今後の海外旅行実施に関心がある」と答えており、「時間的」「金銭的」な余裕があれば関心があるとしている。約3割は「海外旅行には関心がないため計画しない」と答え、興味がある層とない層の二極化が進んでいるといえそうだ。

 これらを踏まえて観光庁では09年度の施策として国内旅行では国内外から客を呼び込める国際競争力の高い観光地の形成、観光地域づくりの人材育成といったテーマを軸に観光振興への仕組み作りに取り組む。また国際旅行では訪日外国人の満足度を高める施策を充実させる。新規取り込みと並行して、リピーター化を進める。

 このほか観光立国推進戦略会議の提言を受けて、今後は国際会議(コンベンション=C)や研修(ミーティング=M)、見本市(エキシビション=E)などMICE(マイス)全般に対象を広げて、中長期戦略の策定に乗り出す考えだ。


【2009年6月11日 日刊工業新聞社】