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栃木県の航空宇宙産業、研究開発に力−テーマごとに課題解決

 「08年度は『国際航空宇宙展』に出展し、栃木県の航空宇宙産業を世界に発信した。09年度は加工技術や製品などの開発テーマごとに課題解決を図る。経済環境は厳しいが振興に力を尽くす」。福田富一栃木県知事は「とちぎ航空宇宙産業振興協議会」の総会でこう強調した。

【産学官で委員会】

 同協議会は07年11月に設立し、現在、県内131社・大学・団体が加盟している。今年度は産学官連携で「研究開発推進委員会」を設置し、研究グループごとに「マグネシウム加工」「軽量材・複合材加工」「難削材加工」などの技術力の向上に取り組む。計画には富士重工業半田工場(愛知県半田市)の見学、中京地区の関連企業との意見交換会、11月に東京ビッグサイトで開かれる「東京国際航空宇宙産業展」への出展なども盛った。

 栃木県の航空宇宙産業は1944年に中島飛行機製作所が宇都宮製作所を開設し、陸軍用機を生産したのが始まり。この歴史は富士重工業が受け継ぎ、産業集積地を形成している。多くの地方自治体が同産業の振興に乗り出す中、県は集積がある優位性を生かして確固たる地位を築き、存在を国内外に知らしめようとしている。

【新規参入を促進】

 同協議会は集積の潜在力を引き出し、活性化するための中核組織の位置づけ。活性化のための解の一つが新規参入の促進にある。「高度技術に対応できる中小企業のすそ野を広げ、県産業全体の底上げにつなげる」(野口明県産業労働観光部長)のが狙いだ。これを映し、加盟の約20%は参入予備軍が占める。予備軍は「航空機部品を手がけることは技術力の証明となる。ほかの事業にも弾みがつく」と支援に期待を寄せる。

 とはいえ、高度技術が最低条件だけに参入ハードルは高い。さらに逆風も吹いている。前年度は国際機械工労働組合(IAM)のストライキで既存機種向け部品の減産を強いられた。これに世界同時不況が追い打ちをかけ、富士重工の協力会社でも週休3日制の導入などが相次いだ。それでも予備軍にとって航空宇宙産業に属するステータスは魅力的だ。

【飛躍のきっかけ】

 「不況を生き抜き、回復後の飛躍に準備しておくために産学官連携や交流が重要」(永野尚富士重工業航空宇宙カンパニープレジデント)なことには変わりはない。「今月にも米ボーイングの次世代旅客機『787』が初飛行する。成功したら機運も高まる」(関係者)という見方もある。それだけに同産業にかける県の姿勢に揺るぎはない。

 (栃木・杉浦武士)


【2009年6月9日 日刊工業新聞社】