HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

点描/静岡・焼津の水産加工業、新市場創出

【水産資源高騰】
 静岡県の焼津漁港は08年の水揚げ量が全国2位。マグロやカツオを主とした遠洋・沖合漁業の基地として歴史も古い。漁港には水揚げされた水産資源を有効活用する狙いで水産加工業が集まり、ツナ缶詰やかつお節などの製造が盛んだ。県内のマグロ類缶詰の生産量は全国生産の90%(06年度)を占めるほど。だが近年はさまざまな要因により水産資源の価格が高騰しているものの、国内では水産加工品需要の低下などで商品の値上げが容易ではない。

 マグロやカツオなどの価格が高騰した理由の一つは世界的な需要の高まり。「鳥インフルエンザや牛海綿状脳症(BSE)問題、健康志向で、欧米アジアの消費者の嗜好(しこう)が畜肉から魚肉へと移行した」(和田卓静岡県水産加工業協同組合連合会専務理事)ことも背景にある。

【バンコク影響】
 現在、マグロやカツオを原料としたツナ缶詰の生産量が世界最大なのはタイのバンコク。日本のマグロやカツオの価格は、バンコク市場の動向に大きく影響される。バンコク市場では近年の需要増加と規制強化による大幅な漁獲制限で、マグロやカツオの価格が急騰した。

【値下げ競争激化】
 はごろもフーズ、いなば食品(静岡市清水区)、清水食品(静岡市葵区)など、静岡県内に集積する国内のツナ缶詰メーカーは原料価格高騰の直撃を受けた。耐えきれなくなった各社は07年以降、ツナ缶詰製品の値上げを相次いで実施。利益率改善に一定の成果があったが、国内では小売業界の値下げ競争激化や水産加工品の需要減という現状があり、先行きは厳しい。

 そのためメーカー各社は生き残りをかけ、新市場をつくり出す新商品の開発に取り組んでいる。その大きな武器になりそうなのが海洋深層水。太陽光が届かない水深200メートル以下の深いところにある海水で、通常の水に比べて栄養分が豊富という。静岡県はこの海洋深層水の取水施設を焼津市に持っており、活用方法を探ってきた。すでに海洋深層水を使ったカツオの煮物など多くの商品が誕生している。今後もこの水を使った独自の商品開発を推し進める。

 (静岡・松本直樹)


【2009年5月11日 日刊工業新聞社】