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農商工連携の今(1)新たな雇用と需要を創出

 経済産業省と農林水産省は、「農商工連携」で新たな雇用と需要の創出を狙った取り組みを進めている。農業と商工業がつながり、これまで想像できなかった新たなビジネスが広がれば、新たな雇用を生み出す可能性を秘めている。「安心・安全」を追い風に付加価値の高い野菜を成長著しい国に売り込めば、市場拡大にもつながる。農と商工が相互の違いを認識し、歩み寄ることが事業化を成功に近づけているようだ。

 第一次産業から第三次産業が有機的に連携すれば、事業の幅は広がるが、ことは簡単ではない。1年間で決まった季節に収穫期を迎える農業と、天気に左右されずに計画的に製品をつくることができる商工業。まず、時間軸が違う。多くの場面で技術的な制御が可能な商工業と、カンや天気など外部環境に左右される部分が大きい農業では、生産方法が異なる。

 ただ、違いばかりに目を向けていても始まらない。時間軸の違いを超えようと、新たな取り組みを始める企業群も出てきている。日本政策金融公庫の調査によると、農と商工業の「リズム調整」に取り組むのは、アグリテクノジャパン(秋田県大仙市)。無臭大豆の「すずさやか」を仕入れ、この大豆を利用した加工食品の販売に取り組む。同社は契約農家に栽培してもらい、全量を買い取る仕組みを導入している。供給過剰にならないよう、技術指導をまとめる農協が生産団体をコントロールしながら、生産調整をしている。

 「工」の先進技術を「農」へ組み入れ、人為的に制御する部分を増やそうとする事例も生まれている。光や水、養液の配分を完全に機械が制御する「植物工場」だ。取り組む事業者の失敗が少なくないため、ノウハウの確立が目先の目標だが、実現すれば食料自給率の向上や、高齢者の参入もしやすくなる。

 08年度にスタートし、国が支援するお墨付きを与えた事例は、200件に近づく。両省は5年間で500件の事業創出を目標に掲げる。

 「『農商工連携』という言葉は浸透してきたが、今後は実績を積み重ねていく」という二階俊博経済産業相の言葉の通り、相互の違いを認識しながら今年は具体的な事例を積み重ねていく年になる。


【2009年4月20日 日刊工業新聞社】