HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

銚子電鉄の"話題づくり戦略"−お金かけずにヒット企画

 銚子電気鉄道(千葉県銚子市、小川文雄社長、0479-22-0316)が相次いで仕掛けた「話題づくり戦略」が効果を上げている。06年に路線廃止の危機に見舞われたが、『ぬれ煎餅(せんべい)』のヒットを機に「お金をかけない宣伝」を強化。乗客数は回復傾向にあるという。ただ、ブームが過ぎてからのリピーター獲得といった課題も見えてきた。(三崎柚香)

【修理代稼ぎ】
 「電車修理代を稼がなきゃ、いけないんです」―。06年11月、悲痛な叫びを同社ホームページ(HP)に載せて話題になった。銚子電鉄は銚子―外川の約6.4キロメートルを結ぶ。1922年から地元の通学、買い物客の足として戦後ピーク時には年間200万人が、80年代後半のバブル期でも150万人が利用してきた。しかし銚子市の人口減少、車利用の増加とともに利用客は大幅に減少。04年度の乗客数は66万人に低迷していた。

 そこから「話題づくり戦略」が始まった。HPに載せたインパクトある言葉をテレビなどのマスコミが取り上げ、ブームに火が付いた。落ち込む運賃収入を補うために、95年に始めた「ぬれ煎餅」販売だが、06年以降は購入による路線支援を訴えた。口コミやインターネット上のブログなどで広がり、飛ぶように売れた。今や、鉄道収入の2.7倍を稼ぐドル箱商品に成長した。

 ただ、「本業はあくまでも鉄道事業」(向後功作鉄道部次長)。従業員は26人。広報・宣伝担当を置く余裕はない。向後次長が先頭に立ち、鉄道事業復活に向けて、ブームで得た「お金をかけない宣伝ノウハウをとことん活用」(同)した。

【マスコミ受け】
 合格祈願向けに銚子と調子をかけた「銚子―本銚子切符」、開運を込めた「上り調子切符」、有名キャラクターとコラボした銚電限定グッズなどを次々アピール。08年には車両を貸し切っての結婚式や、銚子を紹介する芝居など、「マスコミが好きそうなイベントを積極的に仕掛けた」(同)。この結果、07年度の乗客数は82万人まで回復した。押し上げた要因は「観光客の利用」(同)だ。銚子の有名観光資源になり、銚子観光の足としてではなく、わざわざ銚子電鉄に乗りに来るという人まで出てくるようになった。

【復活の正念場】
 ただ、ブームはいつまでも続かない。話題が取り上げられるのもブームだからこそ。ブームに敏感な団体客数が減少傾向にあり、08年度の乗客数は減る見込みだ。銚子電鉄は「呼び込んだ客のリピーター固め」(同)が今後のテーマだ。芝居を上演する電車に乗って市内をめぐるツアーを旅行会社に売り込む計画。さらに銚子市内の埋もれた観光資源の発掘など、市民を巻き込んでの"話題づくり"が求められる。本当のファンを増やしていけるかどうか、完全復活に向けた正念場はこれからだ。


【2009年4月10日 日刊工業新聞社】