HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

インタビュー/沖縄県知事・仲井眞弘多氏「金型人材育成製造業に力」

 沖縄県経済を引っ張る観光リゾート産業の雲行きが怪しくなっている。入域観光客数は08年11月から3カ月連続で前年割れ。景気減速の余波でホテル開発など民間工事の需要も縮小ぎみだ。一方、県は大学院大学の開校による「知の拠点」づくりやモノづくりの基盤強化に取り組んでいる。モノづくり推進会議などが「地域活性化リレーシンポジウムin沖縄」を11日から開くのを機に、仲井眞弘多沖縄県知事に県経済の見通しやモノづくり振興策を聞いた。

―沖縄の代表産業である観光産業が厳しい状況ですね。

 「08年11月から観光客数に陰りが出ている。だが、修学旅行生は堅調で、ウエディング需要も高い。この3月からは盛り返していくだろう。地域経済が落ち込む中で、沖縄の個人消費は前年を上回る水準にあり、住宅着工も伸びている」

―観光産業に加え、モノづくりや環境関連などの新産業創出に力を入れています。

 「沖縄では所得に占める製造業の割合は4―5%と低い。トヨタ自動車など巨大な組み立て加工型産業がないためだ。ただ、沖縄は織物や窯業など伝統工芸が京都に次いで多いと言われる。必要なモノは自らつくるモノづくりの土壌がある」

―09年度から金型人材の育成に乗り出します。

 「機械加工産業は大きなビジネスになっている。なかでも金型は付加価値が高く、本土から遠い沖縄でも物流コストを回収できる。人材が豊富な沖縄で技術を磨けば参入していける。精度の高い金型を作れるという事実が企業誘致の呼び水にもなる相乗効果も期待できる」

―大学や高専卒業の若い工業系人材の県外流出が課題となっています。

 「むしろ、若いうちは本土でも海外でもいいから技を磨けばいい。沖縄県民はふるさと志向が強く、将来的に地元に戻りたい方が多い。その時に技術を生かす職場がないのが問題だ。だからこそ金型など製造業の技術育成に取り組んでいる」

―企業誘致の現状はいかがですか。

 「製造業の進出は景気後退の影響がある。一方で、明るい話題もある。全日本空輸は貨物の中継基地(ハブ)としての那覇空港の活用を拡大する。夜中に那覇に集まった積み荷は早朝には海外に到着する。沖縄の物流面でのデメリットを解消する即効性のある事業だ。IT関連企業の進出も堅調。沖縄は泡盛や島唄だけではない。これからはモノづくりや企業誘致がおもしろくなる」

【記者の目/モノづくり振興カギは地場企業】

 加工組み立て産業の沖縄県の割合は4%台と全国平均に比べ低い。その中でモノづくりの基礎である金型での人材育成は地場企業の競争力強化と企業誘致による雇用創出につながる。

 ただ、一朝一夕に成果が出るわけではない。経済危機後を見据えた「次の一手」と割り切って多くの地場企業を巻き込んでいけるかがカギとなりそうだ。(西部・柿崎誠)


【2009年3月11日 日刊工業新聞社】