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関西リポート/「なんば線」来月開業−大阪周辺変わる流れ

 阪神電気鉄道の「阪神なんば線」が3月20日、開業する。阪神電鉄の西九条駅(大阪市此花区)から、近畿日本鉄道の大阪難波駅(同中央区、現・近鉄難波駅)を結び、総事業費は約1071億円。阪神電鉄の三宮駅(神戸市中央区)と近鉄の近鉄奈良駅(奈良市)間が新線経由でつながり、阪神電鉄と近鉄が直通運転を行う。これにより今まで直通電車がなかった神戸―奈良間が乗り換えなしの76分で行けるようになる。新たに誕生する人の流れに、各方面から期待が寄せられている。(大阪・吉岡尚子)

【沿線各地でPR】

 「観光地として奈良県をグレードアップしたい」と荒井正吾奈良県知事が観光シンポジウムで述べるなど、観光産業に力を入れる奈良県。2010年に開く「平城遷都1300年祭」をはじめ、奈良市の観光地を紹介するキャンペーンを神戸市で行うなど、開業に向けてPRを着々と進めている。

 難波に店舗を構える高島屋大阪店(大阪市中央区)。従来、神戸から大阪へ向かうにはキタの繁華街・梅田へ行く電車しかなく、梅田にある三つの百貨店に客が流れていた。新線により梅田を経由せず難波と神戸が結ばれることで、新たな商圏を獲得。不況で百貨店業界全体の売り上げが伸び悩む中、高島屋の鈴木弘治社長は「神戸から来る顧客を意識した商品展開をしたい」と期待を高める。

 新線で三宮駅まで乗り入れる近鉄は、新たに260万人の沿線人口を獲得。新規事業を始める絶好の機会とみて、神戸近郊でホテル取得や大規模マンションの建設を進める。神戸市東灘区に「御影タワーレジデンス」を着工した。小林哲也社長は「山陽電気鉄道を介して姫路と(近鉄沿線の)伊勢志摩や名古屋を結びたい」と、今後の沿線拡大に意気込む。

 阪神なんば線は戦後間もない時期に計画され、67年に着工したものの、直後に地元との補償交渉不調で工事を中断しており、阪神電鉄にとって念願の開業となる。阪神電鉄が所有し80年以上の歴史がある阪神甲子園球場は約200億円かけてリニューアルを行い、球場本体は開業と同じ3月に完成。奈良県から新線に乗ってやって来る阪神タイガースファンを、真新しい球場で迎える。

【キタと並び発展】

 関西ではキタ・梅田駅での乗り換えを中心とする交通網が発達してきた。梅田では2011―12年に大規模再開発や百貨店の建て替えが計画されており、さらに発展が続く。その一方で阪神なんば線の開業により、キタに次ぐ繁華街であるミナミ・難波の動向にも注目だ。

 近代的な高層ビルが立ち並ぶ都市型のキタと異なり、道頓堀など古い大阪らしさが残るミナミ。街の雰囲気がそれぞれ異なるキタとミナミの両発展によって、大阪全体の経済力の底上げも期待される。


【2009年2月16日 日刊工業新聞社】