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環境ISO認証、観光業界に取得広がる

 環境管理・監査の国際規格「ISO14001」の認証登録が観光業界に広がっている。JTBと契約する旅館やホテルが加盟する団体は、会員の認証取得を後押し。08年末までに琵琶湖(滋賀県)や丹後天橋立(京都府)など全国6地域の41宿泊施設が認証取得を実現した。消費者の環境意識の高まりをとらえ、排出する二酸化炭素(CO2)を自主的に削減するカーボンオフセット旅行の商品化も相次ぐ旅行業界。施設側も環境経営の推進で、地域の魅力向上と経営体質強化を狙う。(神崎明子)

 JTBと契約する全国約4300の宿泊施設が加盟する「JTB協定旅館ホテル連盟」。4年前からISO14001の取得支援に取り組んでいる。豊かな自然資源とともに成り立つ観光業界。これまでも清掃活動やゴミ持ち帰りキャンペーンなど環境保全に取り組んできた。

 だが、京都議定書の発効以降、企業や国民一人ひとりに対策が求められるなか、「自然保護といった従来の観点だけでなく、廃棄物や使用エネルギーの削減といった経営面からの対策が重要になる」(同連盟の林田秀孝管理部長)と認識。人材やコスト面から、単独での認証取得が難しい温泉旅館やホテルが地域内でグループを形成し、認証取得に取り組む仕組みを導入した。

 同連盟は審査を受けるのに必要なコンサルタント費用を負担。08年末には岐阜県の下呂温泉が認証を取得しており、6月には南紀勝浦(和歌山県)が取得の見通しだ。これら施設の一部は、JTBが08年秋に「eco旅紀行」として団体向けに商品化。企業の社会的責任(CSR)活動の一環として、環境配慮を打ち出す法人需要を取り込み、出張や社員旅行で率先して選択してもらう狙いだ。

 日本適合性認定協会によると、ISO14001の累計登録件数は08年12月末時点で2万777件。96年の制度開始当初は電機や機械といった製造業が中心だった登録業種のすそ野もここにきて拡大。現在はサービス産業が全体の3割を占める主要業種に躍り出ている。消費者との接点が広いサービス業にとって環境配慮は顧客獲得に直結する可能性を秘めているのはもちろんのこと、資源やエネルギーの効率利用を通じたコスト削減が経営体質強化につながる利点も大きい。消費低迷下の勝ち残り策の一つにもなりそうだ。


【2009年2月6日 日刊工業新聞社】