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点描/岐阜・関の刃物−海外に商機

 岐阜県の地場産業の一つに刃物がある。その中心地は関市で、日本の刃物の約半分を生み出している。出荷額はピーク時より減少しているが、ここ数年間は350億円前後で安定して推移している。深刻な状況にあるほかの地場産業に比べて、刃物は健闘している産業といえる。

【700年以上の歴史】
 関市は刃物生産で700年以上の歴史を持ち、ドイツのゾーリンゲンと並び称される世界的な刃物生産地。同市で生産される刃物は包丁、カミソリ、ハサミなど多種多様にわたり、製品の4割以上が海外に輸出されている。いまや"関の刃物"は世界ブランドだ。

 同市の刃物産業は繊維や陶磁器などほかの地場産業と同様、安価な中国製品の流入という脅威にさらされた。だが、それでも踏ん張っていられるのは、各メーカーが常に現状と将来を見据えて、事業を展開してきたからにほかならない。

【日本食ブーム】
 例えば包丁メーカー。欧米では日本食ブームが起こり、和包丁が求められているという現状がある。これに乗じ、欧米向けに包丁の新ブランドを立ち上げ、業績向上を果たしている企業もある。

 アウトドアナイフでも新たな動きが目立つ。アウトドアナイフは国内より海外での需要が多い。例えば、「米国では日常的にアウトドアナイフを使う習慣がある」(直井満雄岐阜県刃物会館専務理事)。この点に着目し、使いやすさやデザイン性を追求した海外向け製品を開発し、評価を高めたメーカーも数多い。

 また関市の刃物が高い品質を保っているのも特徴だ。これは中国製品の流入でも打撃を受けなかった理由の一つ。「中国製は安いが、切れ味が良くない」(同)。品質面で劣る中国製が出回ったことが、かえって同市の刃物の良さを再認識させる結果につながった。

【品質に磨き】
 関市の刃物の切れ味は"セキカット"と称されており、海外から高い評価を受けている。最近では、ロシアなど成長の著しい国のバイヤーが買い付けにくる姿があちらこちらで見られる。状況をただ見守るだけでなく、ブランド力や品質に磨きをかけながら市場のニーズに合わせた商品開発を推進できれば、同市の刃物産業の歴史はまだまだ続くはずだ。(岐阜・鈴木慶太)


【2009年1月26日 日刊工業新聞社】