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インタビュー/栃木県知事・福田富一氏「医療・環境・光で産業底上げ」

 栃木県は自動車や航空宇宙といった産業集積を誇る、国内有数のモノづくり県だ。しかし、相次ぐ自動車産業などの減産や雇用調整の影響により、中小企業の多くが苦境に立たされている。今後、どのように県産業の活力を取り戻すのか。福田富一知事に聞いた。

―09年は企業規模にかかわらず厳しい年になりそうです。

 「大津波と暴風雨が世界規模で同時に起きている。本県も緊急経済対策で、中小企業の資金繰り対策や雇用対策を講じているが、確実に効果があるとは言い切れない状況だ。だが、これからも県ができることに全力で取り組む。厳しい情勢だが力を合わせれば必ず乗り切れると信じている」

―県は自動車、航空宇宙を重点分野とし、総合的な施策を講じる「とちぎ産業振興プロジェクト推進事業」を展開しています。

 「昨今、誘致などの地域間競争が激しくなっているし、県内に生産拠点を置く大手製造業からの受注を求めて他県の中小企業が乗り込んでくるといった話も聞いている。両分野とも協議会を発足して連携を密にしているが、これらの取り組みが競争力を強化し、防波堤にもなっている」

 「対象となる中小企業のすそ野を広げ、さらに県産業の底上げを図るのが狙いだ。医療機器、光の両分野とも製造品出荷額が全国上位を占めており、潜在力が大きい。検討委員会では『県が応援する姿勢を鮮明にすることで希望を与えられる』といった声もあった」

―ただ環境分野はテーマが多く、総花的になる懸念があります。

 「確かに環境は全産業にまたがり、関連技術も多い。だがこれからの時代を考えると外せない分野だ。横ぐしを刺せば、複数の技術を重ね合わせて新技術を生み出すといった発展も期待できる。県の底力を対外的に示すことにもつながる。09年度中には『とちぎ環境立県戦略』も策定する」

―最近は農商工連携が大きなテーマとなっています。

 「従来は捨てていた農産物を使って高付加価値の商品にするといった新しい芽が出てきた。クラスター事業などを通じ、点と点を線で結んで面にしたい。関係者がお互いの知恵を持ち寄って新しい何かに取り組むきっかけをつくりたい。地域ブランドにもつながるので力を入れる」

【記者の目/中長期的視野で県内の活性化を】

 「仕事がなくなり、いつ再開できるかもわからない」。県内の中小企業からはこうした悲鳴が聞かれる。将来不安が一気に高まっているだけに、県の役割は重要さを増している。足元の景気対策と併せ、中長期の視野に立った経営環境作りと、成長分野の産業活性化策が求められる。一方、県の財政健全化も待ったなしの状況。企業も県も踏ん張りどころを迎えている。(栃木・杉浦武士)


【2009年1月16日 日刊工業新聞社】