HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

関西私鉄3社、新車両投入−乗客獲得へ快適性向上

 近畿日本鉄道、阪急電鉄、南海電気鉄道の関西私鉄3社は今春、新車両を相次ぎ投入する。高度経済成長期と重なる60―70年代に車両を製造した鉄道会社が多く、「更新の時期がきている」(近鉄)ことが理由だ。その一方で、各社は鉄道の"顔"ともいえる車両更新をチャンスととらえている。これまで関西の電鉄会社は通勤・通学での利用が中心だった。各社は今回の車両更新で観光客の誘致も狙うなど、利用客の増加に向けた取り組みを模索する。

 近鉄では約19億円を投資し、4月1日に新型特急車両「22600系ACE」を10両(3編成)導入する。近鉄は大阪や京都など2府3県にまたがる路線を持ち、出張や旅行の利用も多い。「鉄道を単なる移動手段ではなく、旅を豊かにすることにも役立てたい」(小林哲也社長)とし、ゆとりのある座席の採用のほか、温水洗浄便座や大型喫煙室を設置する。

 阪急電鉄は嵐山駅(京都市西京区)と桂駅(同)を結ぶ嵐山線で、桜の季節に合わせて新車両を採用する。窓を背にして座る従来車両の配置に対し、新車両の座席は進行方向を向き、通路両側に2人がけと1人がけを並べる配置に変更。窓から景色が眺めやすくなるなど観光客に配慮したほか、座席間の通路を広くしたことで通勤・通学客の利便性も考慮しているという。

 世界遺産である高野山の観光人気を受け、南海電鉄は展望デッキスペースを装備した観光列車「天空」を投入する。車両は春に完成し、7月3日から高野線の橋本駅(和歌山県橋本市)―極楽橋駅(和歌山県高野町)間で運行。

 山間部を走る際に乗客が森林の空気を感じられるように展望デッキを設置するのに加え、風景を眺めやすい仕様の「ワンビュー座席」も導入。同社は観光列車効果により高野山駅(同)の年間利用者について2万人増を狙う。

 これまで関西の私鉄各社は共通のIC乗車券「Pitapa(ピタパ)」の普及など利便性向上で利用者数の拡大に努めてきた。しかし少子高齢化や景気減速などから、今後は通勤・通学客数が減少に向かう可能性も高い。各社が観光客を呼び込み、利用客を増やすためには新型車両の投入にとどまらず、関西にある歴史的観光地などをどうアピールするかが鍵となりそうだ。


【2009年1月8日 日刊工業新聞社】