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地方分権、いよいよ本格始動−今春に3次勧告(下)

 【分権委2次勧告・私はこう見る/全国市長会会長・佐竹敬久氏】 第2次勧告では3万5000人の人員削減が盛られた。各省庁は抵抗するだろうが、単なる人員削減だけでなく、公務員の雇用形態や働き方の仕組みにも柔軟性を持たせるべきだと思う。技術行政、産業行政に長く携わった経験から言えば、民間経済部門に優秀な人材とお金を回すことが国にとって重要だと考える。

 町村会ではカネと人の移譲を求め、政令都市など大きなところはカネと仕事だけ、また、より小さな町村は仕事が来るなら人とカネもほしい、と立場はそれぞれ違う。結局、今春に出される第3次勧告で税財源の問題がきちんとなされるか否かで分権が成功するかどうかが決まるとみる。税財源の問題は国と地方の比率だけでなく、ある税金はすべて各自治体に任せるといった税制の抜本改革が必要になってくるだろう。

 地方分権の必要性について我々も住民に対し、情報を提供する必要がある。住民自治の充実を図るため、都市内分権を実施している自治体も多くなった。住民自身に意識の高まりを持たせる訓練が始まっている。

 日本人は割り切り下手で、全部プラスにしようと思っている。そこがいけない。全体的に改革が薄められて少しずつやった程度では意味がない。世の中は一瞬で変わるようなものではないが、最後は政治的な強いリーダーシップに期待するしかない。(談)

 【地方分権改革推進委員会委員(東京都副知事)・猪瀬直樹氏に聞く】

 ―8府省15機関の出先機関職員3万5000人削減という数字を盛り込み、大変なインパクトがありました。

 「まずは数値目標を入れることが勝負だ。文言だけだと、いくらでも解釈できて意味がない。08年12月5日の記者用事前レクチャーの時点で分権委事務局が作成した素案には数値はなかった。僕は2日の分権委で、数値データを入れた個人的な意見を出したがそれが無視されていた。これは当日に平場で数字を入れないとだめだと思い、丹羽委員長提案というオーソライズされた形にして入れた。委員長は民間人だから相場観がある。数字がないと改革のイメージができないわけで、『提案しないといけないな』という意識が委員長にもあった。こっちの作戦勝ちだ」

 ―その後の12月16日の分権委では人員削減について、異例の追加決議をしました。

 「分権委の事務方が12月8日の修正文作成時に『人員削減案は政府が具体的な措置を求める事項に入らない』ととれる文章を入れていた。翌9日に行われる河村建夫官房長官の記者会見用想定問答集を入手したところ、実際には発言しなかったが、その中にも『分権委が出した数値目標にはとらわれる必要はない』との内容の答弁が入っていた。この事態をみて、限られた時間内での修正作業とはいえ第2次勧告を骨抜きにしようとする意図を感じた。だから16日の分権委で取り上げ、人物の特定はしなかったが事務方を質した。僕はずっと道路族とケンカしてきたし、だまされない。こっちは正義なんだ」

 ―今春の第3次勧告に向けての意気込みを聞かせてください。

 「2次勧告でもこれだけの抵抗を受けているから税財源の移譲問題となればもっと大変だ。国と地方の税収比は6対4だが歳出比は4対6。これを5対5にする税財源の移譲をやらないといけない。そこで消費税の問題がでてくる。消費税で直接、地方の税収になるようなもの、消費税のパーセンテージを地方に一定額割り振りすれば地方は交付金をもらわなくても独自の税収を持つようになる。これは消費税を上げることが前提の話だ」

 ―地方分権の早期実現と、霞が関を切り崩す自信はありますか。

 「そんな簡単には崩せない。不退転の決意でやらないと。小泉さんみたいに覚悟がある首相だったら、できる。道路公団民営化と郵政民営化ができたように。いろいろと言われているが麻生首相だって本気になったらやれる。分権委は国会同意人事で、僕はそこで任命されて仕事をしている。地方分権を実現するには、国は分権委が出していく勧告を実現すればそれでいい」


【2009年1月5日 日刊工業新聞社】