HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

直球曲球/観光庁長官・本保芳明氏

 国土交通省の外局として10月、観光庁が発足した。中央省庁の外局設置は00年の金融庁以来8年ぶり。「観光立国」をスローガンに、訪日外国人旅行者数を2010年に1000万人、2020年に2000万人まで引き上げることなどを目標に掲げる。世界経済が激変する中で初代長官に就任した本保芳明氏に現状と取り組みを聞いた。(編集委員・青柳一弘)

 ―ウォン安を背景とした韓国人旅行者の激減など、世界的な景気後退の影響が出ています。

 「日本各地で相当な影響が出つつあるのは間違いない。航空会社からは、韓国人旅行者は半減したと聞いている。11月の訪日外国人旅行者数は前年同月に比べ2割近く減っており、08年1―11月で前年同期比2・2%増の783万人。これまでの"貯金"を取り崩している状態で、12月が25%減になると過去最高だった07年の835万人を割り込むことになる」

 ―逆風の中での船出になりました。

 「こういう時期だからこそ、前向きにやるべき。しっかり布石を打って足腰を鍛え、いずれ反転攻勢に出られるときに最大の果実をつかみ取る心構えが重要だ。中長期を見据えて目標を掲げ、きちんと道筋をつけていく」

 ―目標に掲げる1000万人(2010年)、2000万人(2020年)の修正は。

 「変えるつもりはない。日本が海外から1000万人・2000万人を呼び寄せ、受け入れる力を備えていくようにすることが我々の仕事。そのためには中長期的な目標が必要だ。高い目標を見据え、具体像を描くことで戦略の説明ができる。主要ターゲットであるアジア諸国の人口は、世界水準を上回って伸びていく。背伸びはするが、決して無理な数字ではない」

 ―日本がどう変わればいいのでしょうか。

 「第2の開国、本当の意味で地方まで国際化する必要がある。現在、外国人旅行者は宿泊客の14人に1人。それが訪日2000万人時代には6人に1人になる。現実には偏りもあり、都会ではある程度、外国人の受け入れ態勢ができているが、地方はまだまだ。地方が明治以来の"開国"に直面することになる」

 「少子高齢化とともに人口が減っていく中で、にぎわいを取り戻すには人の交流を増やすしかない。地域自立の手段として当然、観光が浮かび上がってくる。2000万人は変化を促すための数字だ」

 ―戦略について。

 「日本の観光面での姿、ブランドづくりが重要だ。多様な魅力を発信し、あこがれを持たれるようにしたい。これまで日本のイメージは工業製品や文化の輸出で形成され、誘客につながってきた。これからは観光で日本の知名度を上げ、相乗効果を出せるようにしたい」

 【略歴】ほんぽ・よしあき 74年(昭49)東工大大学院理工学研究科修了、同年運輸省(現国土交通省)入省。02年大臣官房審議官、03年日本郵政公社理事、07年大臣官房総合観光政策審議官、08年観光庁発足に伴い長官就任。北海道出身、59歳。


【2008年12月29日 日刊工業新聞社】