HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

新日鉄と長崎海洋環境研、"海の森"を再生−鉄鋼スラグで魚礁製作

 【長崎】新日本製鉄と長崎海洋環境研究会(長崎市、山中孝友会長=長崎総合科学大学大学院客員教授)は地元漁協などと協力し、鉄鋼スラグを活用した魚礁による藻場再生の取り組みを始めた。水温上昇や水質悪化で魚のすみかや産卵場所となる海藻が減る「磯(いそ)焼け」が各所で問題となっている。長崎県では閉鎖性の強い大村湾などを対象に、"海の森"を再生して地元漁業の活性化につなげる。

 大村湾は幅の狭い海峡で外海とつながっているため、海水の交流が少ない。夏場の水温は30度Cを超えることもあり、水質悪化の問題が深刻になっている。 藻場再生では、新日鉄八幡製鉄所(北九州市戸畑区)が鉄鋼スラグ150トンを無償供給し、土木工事のさかもと(長崎県新上五島町)が魚礁製作を始めた。麻袋に鉄鋼スラグや廃棄木材チップ、廃棄貝殻などを袋詰めし、鋼製の外枠に入れて海中に沈める。今月から順次、地元漁協と協力して大村湾や新上五島町の沖合に設置する。

 鉄鋼スラグは製鉄時の副産物で、コンクリートの強度を高める骨材などに使われている。鉄分やカルシウムが豊富なため、アマモなど海藻の生育を助ける栄養分となる。赤潮や富栄養化の原因となるリンなどを吸着する効果もある。

 新日鉄は同様の魚礁により北海道でコンブの繁殖に成功している。山中会長は「水温が高い西端の長崎でも成功に結びつけたい」と期待を寄せる。

 長崎海洋環境研究会は海藻など海洋資源の新用途開発を目的に県内企業や大学教員が集まって08年3月に設立。漂着した海藻のバイオエタノール化や肥料化に取り組んでいる。


【2008年12月17日 日刊工業新聞社】