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大分"津久見のミカン"復興なるか−つく実や、高品質ブランド確立に挑戦

 "セメントの街"として知られる大分県津久見市で、特産品のミカンを全国に売り込もうという取り組みが始まった。その中心になるのが9月に設立した、つく実や(大分県津久見市、大野愼二社長、0972-85-0293)だ。市内の企業と個人12者が出資し、11月に営業を開始した。厳選したミカンやデコポン、ハッサクなど高品質のかんきつ類を高価格帯ながら新たなブランドとしての確立に挑む。(大分支局長・宗健一郎)

 津久見市は太平洋セメントが主力工場を操業するなど、セメント産業が地域を支えてきた。一方でミカンの産地としての歴史も古く、昭和30年代には国内でも有数の産地として活気にあふれた。同市内には"国内ミカンの発祥"とされる「ミカンの元祖木」なるものもある。

 しかし競争の激化もあり、ミカンの生産者はピーク時の10分の1に減少。農業従事者の高齢化に加え、後継者不足などが深刻化している。

 こうした中、「今踏ん張らないと津久見のミカンが歴史の中に埋もれてしまう」(大野社長)という声が地元商工会議所の若手メンバーからあがり、本格的な活動を始めた。第三セクター方式ではなく、民間からの出資のみで新会社を発足した。資本金は1700万円。戸高鉱業社(大分県津久見市)や古手川産業(同)など石灰石の採掘、加工業者らも出資者に名を連ねている。

 新会社の設立に奔走した佐藤成一タイセイ社長は「いい商品は安く売りたくない。1年間かけてブランドづくりを進めてきた」と振り返る。この一環で、大手企業のブランド戦略などを手がける東京のデザイナー事務所とも契約。高い価格でミカンを売るための後ろ盾を強固なものにした。

 つく実やでは津久見産のミカンのほか、ミカンの加工品、マグロやイカなどの海産物を販売する。津久見市内にある直営店のほか、インターネットによる全国販売を目指している。

 「ご当地グルメ」は各地でも展開されており、同社が設定している高価格のかんきつ類(温州ミカンで1個250円)が市場に受け入れられるかどうかは未知数だ。

 自社で食品資材のネット通販を手がける佐藤社長も「1個の値段を言うと『10個の間違いじゃないの?』と言われる」と苦笑する。箱単位で大量購入されているミカンだけに、市場の価値観を切り崩していくような販売戦略を打ち出すことも求められている。


【2008年12月13日 日刊工業新聞社】