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えひめガイヤファンド、成功事例の芽育つ

 民間初の農業ファンド「えひめガイヤファンド」が発足して丸2年になった。愛媛銀行などが共同出資し、農林水産業と関連産業の活性化を目的に設立したもので、2年間の投資は12件で2億5200万円となった。総資金額の約半分を投資したことになる。世界的な景気後退が地方経済にも波及する中、10年の長期的視野で地域活性化のコア事業を育成できるかが今後の課題となる。(松山支局長・香西貴之)

 ガイヤファンドは投資するだけでなく、販路開拓など多岐にわたる経営支援するのが特徴。景気が減速しているが、食品分野は比較的影響少なく、中でも安心安全で評判の良い商品は消費者のニーズが依然高い。投資先には出荷量全国1位を目指す養殖あなごなどの水産品をはじめ、今後の成功事例になりそうな案件が数多い。

 投資先第1号の「みかん職人武田屋」(愛南町、武田敦年社長)は01年にJAを脱退後、生産量トップの「河内晩柑」などのみかんの直販を始めた。「愛媛といったらみかん。愛媛みかんは武田屋と呼ばれるようになりたい」。武田社長は真っ先に投資先候補として名乗りを上げた。農業従事者へのファンド投資は株式会社が原則。支援当時に有限会社だった武田屋は、即座に株式会社化の手続きをした。

 同社の河内晩柑は夏が旬の国産のかんきつ類とあって希少品。さらに熟齢30年以上の高級晩柑は得意先にしか提供できない人気商品。武田社長は晩柑で築いた武田屋ブランドをキウイや、新米直販にも拡大。直販と学校給食、外食向けの3本柱で事業を展開している。投資金は育成まで時間を費やす苗木の栽培面積拡大に充てる。

 武田屋に続くファンド2号目で養殖あなごを展開する「活媛」(松山市、中山仁助社長)は、あなごの陸上養殖に成功した。東京の料亭や関西の魚市場などからの注文が相次ぐ。順調な販路開拓の要因は「脂がのっておいしいことに尽きる」と中山社長。ただ、地球温暖化による水温上昇で07、08年は多くのあなごが死滅するなど思わぬアクシデントに見舞われた。09年は水温調整設備を完備する。「長期的視野に立つファンドの支援が支えになった。将来は愛媛県内のあなご養殖事業の普及に尽力したい」という。

 愛媛銀などでは48の投資案件を抱えている。今後、全額(5億円)投資を終え、販路拡大や経営支援に比重を移すとともに第2の農業ファンドを検討したいという。民間の農業ファンドは鹿児島県でも設立されるなど広がっている。愛媛銀は後に続くファンド出資先にもノウハウを提供し、ファンド間の連携を全国的に図りたい考えだ。


【2008年12月11日 日刊工業新聞社】