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広島市の航空宇宙研、内外動向を調査−ボンバルディアを視察

広島市が航空機産業の支援、育成に取り組んでいる。08年は「広島航空宇宙研究会」を設立し、姉妹都市のカナダ・モントリオール市に本社を置く航空機世界3位のボンバルディア・エアロスペースに「経済ミッション」を派遣するなど支援を活発化している。市の基幹産業である自動車は海外生産比率の増加傾向に加え、先行きが不透明なだけに、航空機に新たな産業の柱としての期待が高まっている。(広島・深江隆寿)

広島市は10月のボンバルディア視察に先立ち、7月に広島県内の航空機産業10社を集めて任意団体「広島航空宇宙研究会」を設立した。市が旗振り役を務め、国内外の航空機産業を調査し、地域共同受注などの可能性を探る。この経済交流は日本貿易振興機構(ジェトロ)の「地域間交流支援事業」にプレ採択されており、09年度には本採択を目指す。

広島市とモントリオール市は10月に姉妹都市提携10周年を迎えた。これまで環境、食品、ITなどの分野で経済交流の実績があるが、航空機に関してはまだ窓口を設けた段階。09年度にはモントリオールから、研究会参加企業を対象とした視察団の受け入れを検討している。

今回の視察を通じて、日本企業の航空機部品参入には壁が高いことも分かった。モントリオールでは組立工場から30キロメートル圏内ですべての部品がそろう“城下町”を形成。広島からだと輸送費などコスト面でのハンディがあり、高精度・難加工など独自技術で勝つしかないのが実情だ。

それでも参加各社は希望を捨てていない。西井製作所(広島市南区)の室祥仁常務は「単独では難しいが、共同受注に期待したい」と語る。「まず1部品だ。一つ受注して信頼を得れば次につながる」と強調するのはヒロコージェットテクノロジー(広島県呉市)の田代博造社長だ。

さらには経済交流の“次”の展開を見据えた声もある。シーコム(広島市中区)の岩本浩社長は「積極的に動かないと意味がない。モントリオール以外も積極的に調査し、ビジネスを拡大する枠組みにしなくては」と鼻息が荒い。

広島の航空機産業はIHIが呉第二工場(広島県呉市)で作るジェットエンジン関連が中心。同研究会も、IHIのサプライヤーが多い。ほかに米ボーイング向け機体部分の三菱重工業広島製作所、「MRJ」向けシートを三菱重工と共同開発中のデルタ工業(広島県府中町)、特殊部品の物理気相成長(PVD)を手がけるトーヨーエイテック(広島市南区)など「単発の仕事」が多く、集積としてはまだまだ薄い。

マツダ系サプライヤーでもあるシーコム、デルタ工業など参加社の多くは自動車産業とのつながりも深い。市は「自動車の技術を転用し、ブラッシュアップする形で参画する企業が増えれば」(石田芳文広島市経済局産業立地推進課長補佐)と期待を寄せる。

今回の取り組みは「(成果には)早くても2、3年。軌道に乗るまでにはもっとかかる」とヒロコージェットの田代社長は見る。長期スパンを覚悟で、一歩ずつ実現を目指す広島市と地場企業の挑戦は始まったばかりだ。


【2008年12月4日 日刊工業新聞社】