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インタビュー/足利銀行頭取・藤沢智氏「地元産業の底上げに力」

景気後退の影響により地方銀行の業績悪化が相次ぐ中、足利銀行も受け皿となった野村グループが策定した「事業計画」の下方修正を余儀なくされた。栃木県内の産業界も先行きの不透明感を増している。藤沢智頭取にこれからの取り組みなどを聞いた。

―景気低迷で、後ろ向きの資金需要が増えそうなだけに、より目利き能力が求められます。

「中小企業の多くはバブル崩壊の教訓を生かし、それなりの内部留保があるだろうが、停滞が長引くとこれもなくなってしまう。後ろ向きの資金需要に対しても会社の将来性や潜在能力を見極めてしっかりと対応したい。現場には常に『経営者の話を良く聞け』と言っている」

―近年、地銀の多くは住宅ローンを伸ばしてきましたが、これも伸び悩みが予想されます。

「当然、伸び悩むだろう。もっと融資のすそ野を広げていかなければならない。それにしても住宅ローンの金利競争はひどい状況だ」

―ただ、こうした環境下では新規需要開拓は難しいと思いますが。

「県内産業がどう有機的にリンクしているのかをあらためて分析する。製造業の大企業の多くは自己完結しており、いわば根のないプランター型だ。大企業と地元の中小企業との産業連関の役目を果たし、全体を底上げしたい」
「もうひとつが観光立県にすることだ。日光、那須、鬼怒川といったすばらしい観光資源を誇るが、バラバラでうまく連携していない。活性化したら産業界全体への経済波及効果も大きい。地方でこういうことを主導できるのは銀行しかないと思う。来期には何らかの構想を打ち出し、県とも協力したい」

―ベンチャー企業の育成もテーマですね。

「千に一つといった確率だろうが、地元に根の生えた会社を育てることは重要だ。前向きに取り組みたい」

―野村グループ策定の事業計画は下方修正を避けられなくなりました。

「新事業計画を策定中だが、過度に保守的にならず、企業努力も見せなければならないと思っている。かつ2010年度の上場に耐えられる計画にしなければならない」

―野村グループとは資本増強も計画しています。

「時期、規模ともノーコメント。ただ、野村はちまちましたことはしないだろうし、“ドカッ”と増強してほしい」

【略歴】ふじさわ・さとし、70年(昭45)東北大法卒、同年商工中金入庫。02年理事、05年商工サービス社長、06年商工コンピューター・サービス社長、08年足利ホールディングス社長兼足利銀行頭取。岩手県出身、61歳。

【記者の目/財務基盤強化を】
中小企業の生き残りはもとより、地方銀行も再編の波が一段と高まってきた。こうした中、足利銀行の課題はやはり財務基盤が脆弱(ぜいじゃく)なことだ。「早くても基盤強化には約5年はかかる」(藤沢頭取)。ちょうど事業計画の最終年度とも重なる。それだけに2月発表予定の新事業計画は再編の主導権を握るための藤沢頭取のコミットメントにもなる。
(栃木・杉浦武士)


【2008年12月2日 日刊工業新聞社】