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点描/ピンチをバネに−山梨県の製造業

【若者が払底】
景気が悪いのは全国的。山梨県でもその傾向は同様だ。製造業各社は「このピンチをバネに」と口をそろえる。それは強がりとばかりは言えない。

山梨県には70年代を中心に大手電機メーカーなどの国内生産拠点が相次いで進出。その結果、部品製造や機械加工など中小製造業のすそ野も広がり、工業出荷のトップを機械電子関連が占める。

ここ数年、東京エレクトロンをはじめパナソニック、パイオニアなどの拠点が県外、国外に出る動きが相次いだ。高校生・大学生が卒業後、首都圏を志向するため、県内のフレッシュな人材が払底していることも要因の一つとされる。今回の金融危機に先んじて、山梨県内の景況感は昨年あたりから全国ワースト近くに落ち着いてしまっている。山梨県も柔軟な土地利用など企業誘致に向けた方策を打ち出しつつあるが、明らかな効果は見られない。

【盛り上がる機運】
そこへきて、この数カ月の景気の急降下。県内各所でも「先週より今週、と仕事が減っている」といった声が聞かれる。だが、一方で反転を狙おうという機運も盛り上がっている。11月20日から3日間甲府市内で開かれた「山梨テクノフェア&マルチメディアエキスポ」は今回が30回目。先行きの不安を抱える中、各社のトップは「ここをチャンスに」と気炎を上げた。

例えば、県内経済をけん引してきた機械電子分野、特に各種製造装置関連。今後、大手メーカーなどの電子部品生産の国内回帰が進めば、県内各社が研究開発を進めていた生産技術を国内で披露する場面が増える。県も緊急経済対策として中小企業向け融資拡大のほか、県内各社が独自に進めている燃料電池など次世代研究開発のバックアップを強める。「今は、この先売れるものに備える良い機会」(加藤正芳テクノフェア実行委員長)だ。

【「特別枠」設置】
大手企業流出もマイナス面ばかりではない。「優秀な人材が中小企業に転職してくれる」状況は見逃せない。山梨県機械電子工業会など経済団体が山梨大学工学部に働きかけ、卒業後山梨県内企業に就職する「特別枠」を設け、経済界がバックアップしようという動きもある。県内工業高校・大学の人材を企業側が取り込むうえでも不況はチャンス。もちろんそれには各社が将来性などについて独自の魅力を打ち出す必要がある。

(諏訪支局長・名取貴)


【2008年12月1日 日刊工業新聞社】