HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

技の夢/日本から世界へ−伝統の技「クールジャパン」

 「クールジャパン」とは、日本で当たり前とされてきた食や伝統工芸、ファッションなどが海外で人気を集めている現象を指す。この人気を下支えするのは、地域とじっくり向き合ってきた地場産業の技だ。経済産業省は、日本発のトレンド発信を促すため地場の中小企業を支援する。中小企業もこれに応え、新たな潮流を産みだそうとしている。

■サミット贈答品
 「ほかの店では手に入らないような模様の細やかさや、ガラスの鮮やかさがある」。常連客の一人は、熊倉硝子工芸(東京都江東区、熊倉隆一社長)の江戸切り子をこう評する。多くの同業者と一線を画し、薬品を使わずに一つひとつを手作業で磨き上げる。薬品による色落ちがないため、鮮やかな仕上がりになる。7月の主要国首脳会議(洞爺湖サミット)では、同社のワイングラスが各国の首脳への贈答品とされた。

 現在、同社が挑戦しているのが、技のコラボレーション。有田焼や和紙メーカーなど伝統工芸同士の連携を模索している。「デザイナー同士がぶつかり合う。可能性は未知数だ」と熊倉社長は期待を込める。もう一つの新たな挑戦が、技のコラボによって生まれた商品を携えて、海外での足場を築くこと。複数のバイヤーから打診を受け、慎重な検討を重ねているところだ。

■つくだ煮、世界へ
 「アメリカの食卓にしょうゆがのぼったように、つくだ煮を世界の食卓へ」―。平松食品(愛知県豊橋市、平松賢介社長)は、1922年創業のつくだ煮の老舗。食の技術指標となるモンドセレクションでは、サンマのかば焼きとイワシの甘露煮でそれぞれ最高金賞を受賞した。06年の台湾の展示会へ出展以来、つくだ煮をクリームチーズやサルサソースであえたりして、伝統の技を応用。各国の風土に合った食の提供を試みている。

 同社は、日本独特の甘辛い味付けのつくだ煮を海外向けに「TERIYAKI FISH」と表現。海外向け売上高を、08年8月期の2000万円から2012年8月期には1億5000万円に引き上げる計画だ。今後も海外展開は続けていく姿勢で、「不況で“本物”しか残っていない今がチャンス」と平松社長は力を込める。

 2社はともに、経済産業省・中小企業庁が進める「中小企業地域資源活用促進法」の認定を受けている。さまざまな支援策を活用しつつ、長年培ってきた技術に新たな手法を採り入れ、地域から「クールジャパン」を発信しようとしている。


【2008年10月30日 日刊工業新聞社】