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インタビュー/北海道商工会議所連合会会頭・高向巌氏

 世界的な金融不安による景気後退という新たな危機が、北海道経済を覆い始めている。07年までの景気拡大期にあっても回復の実感をつかみきれず、我慢を続けてきた道経済。米国に端を発した金融不安の津波は、原材料・原油高で苦しむ道内企業や家計の足元を揺さぶり始めた。北海道商工会議所連合会の高向巌会頭(北洋銀行会長)に、道経済の今と、これからを聞いた。(札幌支局長・神阪拓)

 ―道経済の現況をどうみていますか。

 「市場経済、グローバリズムを軸とする経済の効率化は評価できるが、優勝劣敗も生み出した。都市と地方の格差、いわゆる『勝ち組、負け組』の構図だ。特に、建設業が中心の道経済への影響は大きい。公共工事の減少で縮小するパイを奪い合う過当競争は、量の減少と利益率の低下を招いている。原油価格は依然、高水準で石油への依存度が高い冬の生活を直撃し、所得が伸びない中では消費も縮小する。そこに今回の世界的な金融危機だ。地方の金融機関は体力を弱めてリスクを取りにくくなっており、中小企業は閉塞(へいそく)感に包まれている」

 ―道経済活性化に向けた中・長期的な展望と振興策については。

 「公共事業で対応する時代ではない。自立が求められる。北海道の強みは一次産業。農業と商工業との協力、連携の拡大で新しい動きが出てきている。道商連は北海道経済連合会やホクレン農業協同組合連合会などと組んで支援している。道産米の地産地消活動で消費率も上がってきた。安全・安心を売る農産品の生産のほか、食品加工業と観光業のマッチング、道産食材の売り込みなどに力を入れていく」

 ―北洋銀行と札幌銀行が合併し、新しい北洋銀行が誕生しました。リーディングバンクが描く経済活性化のシナリオは。

 「道内の企業、家計はもともと他地域と比べて資本蓄積が少なく、体力に劣る。銀行はどうするべきか。資金需要が少ない中で企業への出資を増やしている。融資から出資へのシフトは今後も続けていく。もうひとつは企業再生。農業や建設業からの異分野への参入、転業など、中小企業の『これから』を見つめた相談、サポートを通じて企業の再出発を支援していく」

 ―企業誘致などモノづくり産業の振興にどう取り組んでいきますか。

 「室蘭の製鉄、苫小牧の紙・パルプに自動車。これらの産業は道経済にとって大きな役割を担っている。一段の立地を期待しているが、思うように進んでいないのが現状だ。誘致とともに必要なのが地場企業の意識改革。高い技術を地場に落とし込まなければならない。せっかく進出企業から声がかかっても、『できません』ではもったいない。道内では産業クラスター活動を通じた新産業創出、産学官に金融を加えた連携を進めており、そこから新しい芽が出てくることを期待している」

 たかむき・いわお 1962年(昭37)東京外大中国科卒、同年日銀入行。91年情報サービス局長。93年北洋銀行副頭取、00年頭取、01年札幌北洋ホールディングス社長を兼務。04年札幌商工会議所、北海道商工会議所連合会会頭。06年札幌北洋ホールディングス会長兼北洋銀行会長。東京都出身、69歳。


【2008年10月21日 日刊工業新聞社】