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商店街に再び活気を‐千葉市の再開発ビル「きぼーる」が1周年

 空洞化が進む千葉市中心市街地を活性化する起爆剤として開館した官民複合の再開発ビル「きぼーる」が20日で、オープンから1周年を迎える。総事業費約216億円を投じ、市街地活性化に加え、周辺商店街への経済効果の波及という期待を込め建設した同ビル。既に流入人口の増加など市街地の活気を呼び寄せる効果が出始めている。中心市街地のにぎわいは復活するのか。この流入人口の増加を商店街の売り上げにつなげる、新たな仕掛けづくりがカギを握る。(千葉・尾内淳憲)

【親子連れ客が増】

 「土曜、日曜、祝日に親子連れが増えた」。千葉銀座商店街振興組合の戸井良弘事務局長は「きぼーる」オープン後の変化についてこう語る。

 千葉銀座商店街はJR千葉駅から「きぼーる」方向へと伸びる目抜き通りの一角を形成している。周辺には官庁やオフィスビルが集積しているため、平日はビジネスマンらで人通りが多い半面、休日には閑散とした状態が続いていた。「きぼーる」の開館後は曜日に関係なく、商店街を行き交う人が多くなった。市が周辺商店街の経営者を対象に行ったアンケートでも、商店街の人通りについて全体の38%が「増えた」と回答している。

【波及効果に疑問】

 「きぼーる」は地下1階、地上15階建てで、敷地面積は6614平方メートル。ビル内にはスーパーマーケットなどの商業施設のほか、子ども交流館や子育て支援館、科学館、中央保険福祉センター、ビジネス支援センターがある。科学館に併設したプラネタリウムのドームの大きさが23メートルと千葉県内で最大ということも話題となり、きぼーるの入場者数は、オープンから08年8月までの10カ月で約77万人となった。市が掲げる年間利用者数約89万人に迫る勢いだ。

 きぼーる効果で周辺商店街には「小学生や中学生が訪れるようになった」(戸井事務局長)ことで活気が出てきている。ただ、それが商店街の売り上げに結びついているかと言えば、必ずしもそうではない。市のアンケートでは、来店客数が「増えた」と答えたのは17%だったのに対し、「減った」は36%。売上高も「増えた」が20%に対し、「減った」は45%という結果だった。

【さらなるPRを】

 その要因について、関係者が口をそろえて言うのは「回遊動線の欠如」だ。「きぼーるに遊びに来ても、そのままどこにも寄らずに帰ってしまう人が多い」(同)、「集客力のある公共施設が個々に存在している状態」(千葉滋胤千葉商工会議所会頭)という。千葉市経済農政局も「動線の形成が必要」なことを認める。市や商店街は、JR千葉駅から中央公園、千葉銀座商店街を抜け、きぼーるにいたる動線で各種のイベントを開催して回遊性の向上に力を注ぐが「まだまだPR不足」(ちばぎん総合研究所の酒井利幸主任研究員)という印象を否めない。

 きぼーるのオープンにより、中心市街地に新しい層の流入が起こり、市街地活性化に一役買ってはいる。だが、周辺の商店街がその恩恵を受けているとはまだいえない。戸井事務局長は現状を「やっと、起爆剤の導線に火がついたところ。動線の形成には時間がかかる」と分析する。きぼーる開館による波及効果を見定めるには、もう少し時間が必要となりそうだ。


【2008年10月17日 日刊工業新聞社】