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地域資源活用チャンネル

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地域力を高める(下)日本総合研究所上席主任研究員・金子和夫氏

 地域の強みを引き出すために、国はさまざまな支援策を打ち出すが、なかなか容易に成果はでない。若者の地域離れが進んでいることに加え、インターネットの普及で地域商品の差別化が難しくなっているためだ。多くの地域ブランド構築にかかわる日本総合研究所の金子和夫上席主任研究員に、地域の力を引き出すための方法について聞いた。(山下裕子)

―地域が活性化するために不可欠なことは。

 「地方自治体や団体がネットワークを組んで地域独自のビジョンを持って、地域経営にあたることが大切。民間企業ではプロジェクトをまとめるプロデューサーやコーディネーターがいる。2、3年前までは、国の補助金でこうした人材の費用を使うことが認められなかった。地域活性化のためには一貫して支援することが大切で、こうした人件費が認められるようになったことは大きい」

―何を基準に地域の強みとし、そして地域力を高めるにはどうしたら良いですか。

 「地域住民の声の多さが地域の強みの基準となる。地域力を高めるには行政も巻き込んだワークショップを開く。そこで新事業のプロジェクトを発表しあう。住民の声を聞くために、賛同するプロジェクトに住民が投票するのだ。投票数が多く、取り組む人がいる事業に専門家がアドバイスする。自分たち選んだプロジェクトが形になる課程で、みんな目の色を変えて事業に取り組むようになる。ターゲットや価格、機能などから市場を調査し、戦略を練る」

―地域活性化に貢献する人材育成のための「地域づくり達人指南塾」の塾長を務めました。

 「経済産業省が中小企業基盤整備機構に委託した事業。昨秋、地域情報発信のスペシャリストを講師に呼んで、希望者を募って3カ月間一緒に勉強した」

―指南塾の成果は出ましたか。

 「何人かの参加者は地域で新たな取り組みを始めた。信用金庫に勤める女性は自治体と組んで、地域情報を取り上げる冊子を定期的につくって書店で販売している。市役所に勤める女性は、行政と地域の双方向の情報発信を目指して、地域住民向けイベントの企画運営や地域情報発信のための組織を立ち上げた。こうした活動を、これからどう発展させていくか模索しながら、今も勉強会は続いている」

 かねこ・かずお 76年(昭51)早大政経卒。レディスアパレル業界で消費者ニーズの分析や新ブランドの経営管理に取り組む。その後、82年に慶大でMBA取得、88年から日本総合研究所でマーケティング手法を活用して地域ブランド構築に取り組む。愛知県出身、55歳。


【2008年9月19日 日刊工業新聞社】