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地域資源活用チャンネル

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地域力を高める(上)アンテナショップ

 地域の持つ潜在力を見つめ直し、強化しようとする動きが広がっている。経済産業省は、行政サービスで解決できない地域の社会的課題を、ビジネスの手法を用いて解決する「社会起業家」の育成を後押しする。一方、各地では中小企業地域資源活用促進法施行で、地域の強みを生かした新事業や新製品づくりを進める。地域力を生かした新商品を全国に広める手段の一つに都心に設けた全国のアンテナショップがあるが、課題も指摘される。地域力は日本経済活性化のカギと期待されるだけにそれぞれの立場で課題の克服が急がれる。(山下裕子)

 10時25分。開店5分前の岩手県の県産品を扱うアンテナショップ「いわて銀河プラザ」(東京・銀座)の店の前に行列ができる。目当ては、朝一番で岩手県から届けられたお弁当だ。岩手牛や県産の野菜をふんだんに盛り込んである。販売する弁当は年々数を増やして、現在15種類を店に並べる。担当者は、「オープン当初は人が集まるか不安だったが少しずつ認知度を上げている。特に歌舞伎座の目の前という立地から、開演前の腹ごしらえにお弁当を求めるお客さんが多い。昼食用に買い求める近隣に勤める人も定着しつつある」と話す。県内の中高生が修学旅行でショップを訪れた際には体験学習ができる仕組みも採り入れている。

 アンテナショップの草分けといわれる、鹿児島県の「かごしま遊楽館」(東京都千代田区)は、保存食として食べるのが一般的とされてきた薩摩(さつま)揚げを揚げたてで客に振る舞ったり、豚肉のしゃぶしゃぶをそばつゆで食べる習慣を根付かせた。焼酎は県内でしか手に入らない銘柄など200種類を扱う。「都心に住む人が知らない鹿児島を発信し続けていきたい」と担当者は意気込む。

 94年のオープンから14年が経過し、転機を迎えるアンテナショップもある。沖縄県産品を集めた「わしたショップ」だ。地域資源が豊富で、健康食品を中心に売り上げを伸ばしてきた。健康食品の販売をさらに伸ばすため、「一つひとつの商品の説明を丁寧にすることを心がけている」と担当者。世の中の健康ブームとともに認知度を上げているが、現在の売り上げは頭打ちとなっている。

 アンテナショップの運営は、各地の都道府県が出資する第三セクターや民間企業が運営主体だ。地域情報を発信する機能を持つ一方で、商品の売れ行きもショップを存続する上で重要な要素となる。ただ、売れ行きに固執するあまり、「最近、都道府県ごとのアンテナショップは量販店化している」と全国各地の地域特産品を扱うアンテナショップの担当者は警鐘を鳴らす。「地域情報の発信力を強めたり、3年、5年経過しても色あせないロングセラーの商品を生み出すことが重要だ」と強調する。


【2008年9月17日 日刊工業新聞社】