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京阪電鉄、「中之島線」が来月開業−陸の孤島のアクセス向上

 京阪電気鉄道の「中之島線」が10月19日、開業する。周りを川に囲まれた大阪・中之島は大阪市役所や日銀大阪支店、大阪国際会議場などが立ち並ぶ大阪市内有数のビジネス街でありながら、これまで直通の電車がなく“陸の孤島”と言われていた。新線の開業により、京都や大阪・天満橋方面から電車で直接行ける道が開かれ、アクセスは大きく向上する。開業を機に、京阪はもちろん、中之島地区内に立地する企業や行政も関西経済の活性化につなげたいと期待が高まる。

 【変わる町並み】

 中之島の西端にあるリーガロイヤルホテル。大阪国際会議場に隣接し、政府要人も多く訪れるビジネスの要衝でありながら最寄り駅がなく、淀屋橋駅や大阪駅からのタクシーや送迎バスを利用するほかなかった。開業後は天満橋駅から4駅で直通し、飛躍的に便利になる。

 開業による利用増をにらみ、同ホテルでは記念フェアやイベントを実施。玄関に京阪新型車両の模型を展示するほか、開業後は全レストラン19店でシェフの特別メニューを提供する。「紅葉の時期に京都から1本でつながり、大阪へも観光客を呼び込める」(同ホテル)と期待をかける。

 新線は大阪城近くの天満橋駅を起点になにわ橋駅、大江橋駅、渡辺橋駅、中之島駅の計5駅。この区間には大京と京阪電鉄不動産が手がける超高層マンション「N4.タワー」、関西電力グループとダイビルによるオフィスビル3棟の共同開発、朝日新聞グループのツインタワービル建設など、30―40階建てクラスの高層ビルやマンションが軒を連ねる予定。新ビルで町並みが大きく変わるだけでなく、マンション住民増加で「昼間はオフィス街だが、夜はゴーストタウン」というマイナスイメージも払拭(ふっしょく)すると期待される。マンションはほぼ8割が入居予定者で埋まっているという。

 変ぼうする中之島地区を紹介しようと、編集集団140B(大阪市北区)では、8月からフリーペーパー「月刊島民」を発行。毎月2万5000部出し、評判もよいという。中島淳代表は「新しさに加え、古い歴史や伝統もある中之島の良さをアピールしたい」と話す。

 【ブランド確立】

 京阪電気鉄道にとって、新線は19年ぶりとなる。開業を機に、専用の新型車両も投入。快速急行「3000系」ではスエード調の高級素材である東レのマイクロファイバー素材「エクセーヌ」をシートに用い、座席幅も広くして特急並みの快適さを実現した。

 このほか、4年間かけて全車両700台の塗り替えを実施。中之島線は水都・大阪を象徴する青、京阪本線の特急は京都をイメージして赤、普通電車などの一般車両は沿線の木々にちなんで緑と、それぞれ長年親しまれた専用カラーを引き継ぎながら現代的なイメージにする。また、京都観光のメーンとなる四条駅など3駅では最寄りの観光エリア名を追加し「祇園四条駅」などと改名。京阪ブランドの確立を狙う。

 車両塗り替えや駅名変更は多額の費用がかかるが「どうせやるなら一気にやりたかった」と京阪担当者。ブランドイメージの向上により、樟葉駅(大阪府枚方市)など沿線で進める都市開発にも恩恵があるとみている。

 【下落影響は限定的】

 米国のサブプライムローン(信用度の低い個人向け住宅融資)問題などを背景に、不動産市況には暗雲が漂っている。しかし地場証券会社の岩井証券は「不動産マネーが多く入っている梅田周辺に比べ、中之島の場合は流入の割合が小さく(オフィスなどの)実需もある。下落影響は限定的だろう」と予測する。

 国際会議場や多くのオフィスを擁しながら陸の孤島で「髀肉(ひにく)の嘆」となっていた中之島。同地区の浮上は、大阪や関西経済全体にとっても活力となりそうだ。


【2008年9月11日 日刊工業新聞社】