HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

東京の伝統的工芸品チャレンジ大賞、受賞工房拝見

 08年度「東京の伝統的工芸品チャレンジ大賞」(東京都中小企業振興公社など主催)の作品募集が8日から始まる。都内にはガラス工芸や木工など100年を超える伝統工芸産業が数多くあるが、近年、安価な海外製品の流入や後継者不足などの問題を抱えている。同賞は伝統的工芸品の新たな需要開拓と若手技能者の確保を図り、地場産業活性化の一助とする。07年度に都知事賞などを受賞した工房を訪れ、その後の活動を追った。(大塚久美)

 若年層向け部門の都知事賞を受賞したのは田島硝子(東京都江戸川区、田嶌文男社長、03-3652-2727)の「ワインブラー」(台付、1セット3150円)だ。グラスの持ち手部分(ステム)をこまの形状の突起にし、テーブルの上で転がすだけでソアリングできる。遊び心を持ちながらプロの使用にも耐えられる点が評価された。

 田島硝子はソムリエ専用のワイングラス(30種類)や外資系ホテルの業務用グラスを手がける手吹きガラスの窯元。従業員42人の中で、熟練のステム(脚を引く)職人はたったの3人だけ。最近は若手の入社が少なく、熟練職人の後継者不足にも悩むところだ。とはいえワインブラーの受賞で、海外洋酒メーカーの目にとまり、販促用商品で5000セットの受注が決まった。一般への販路も拡大し、年間1万セットの販売を目指す。

 中高年向け部門の都知事賞は、きまた(東京都江東区、木全章二社長、03-3647-0073)が受賞した。組子細工を取り入れた直径約65センチメートルのペンダントライト(1台38万円)は秋田杉を使い、直線的な幾何学模様をかんなで100分の1ミリメートル単位で削って作り、上から組み込んで立体に表現した。明かりをつければ幾何学模様が天井に浮かぶ。製作した木全隆之氏は第37回技能五輪全国大会の「建具」部門で金賞を受賞した。「今後はもっと難しい曲線に挑戦したい」と意欲を語る。

 相徳(東京都港区、井上雅史社長、03-3442-1541)は、本業の桐たんすづくりの技術を生かしたペルー発祥の打楽器「カホン」(1台3万6750円)で奨励賞を受賞した。直方体の楽器で、イスのように板面に座りながら手でたたいて音を出す。打面は板厚6ミリメートルの会津桐を使い、手に当たる柔らかさと豊かな音を実現した。今後は低音域も出せるよう改良を加える。「出展することは職人の経験にもなる。また、異業種間でのコラボの可能性もあり、商機につながる」(井上社長)と、同賞出展の効果を感じている。

 08年度の応募テーマは「花」と「自由テーマ」の2区分。出品作品は今年度も商談会や展示会、江戸東京博物館、百貨店などで展示販売される予定だ。


【2008年9月3日 日刊工業新聞社】