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東京・多摩の観光地、原油高で明暗−集客へ仕掛けづくり

 都心にほど近く、自然豊かな行楽地が点在する東京・多摩地域。原油高の影響で遠出を控える行楽客が増えていることから、高尾山(東京都八王子市)や御岳山(同青梅市)などの観光スポットには追い風が吹いている。その一方、自動車の利用者が多い観光地は苦戦を強いられている。そんな中、ガソリン高による客足の減少に歯止めをかけようと、地元金融機関が集客の仕掛けづくりに動きだすといった取り組みも生まれている。(西東京・長田善行)

【夏場なのに倍増】

 こんな夏は初めて―。高尾山はフランス・ミシュランの観光ガイドで最高位「三つ星」の評価を受けて以来、注目を集め、観光客数が大幅に伸びている。例年、避暑を求める都心からの行楽客は東京を脱出し、山梨・長野方面まで足を伸ばすため、夏場は観光客が少なくなる。だが、今年は様相を異にし、山頂にある案内施設「高尾ビジターセンター」の7月の入館者数は前年比約2倍の約1万2000人に膨らんだ。

 高尾山のベストシーズンは鮮やかな紅葉が広がる秋だけに、今後も観光客増が見込める。「ミシュラン効果に加えガソリン高により、電車で手軽に来られる高尾山に観光客が集まる傾向が強まったのでは」(同センター)と、ほくほく顔だ。

 高尾山と並んで健闘しているのが、東京都青梅市の御岳山だ。都内から電車を利用し、ケーブルカーで登れることから人気を集めている。8月に可憐(かれん)な花をつけるレンゲショウマが見ごろだった御岳登山鉄道の利用者は前年並みの約4万人の見込み。ミシュラン効果で客足が高尾山に奪われるのではと心配されていたが、「都心以外からも観光客が来るため、高尾山が増えて御岳山が減るということはない」(高橋美穂同鉄道総務担当)と強調。原油高を味方につけ客足の増加に期待する。

【打開策探るも…】

 日本の滝百選に数えられる払沢(ほっさわ)の滝やキャンプ施設などが集まる東京都檜原(ひのはら)村には、観光客の8割近くが自動車で訪れる。このため「民宿の利用客は例年に比べ少ない」(鈴木留次郎檜原村観光協会事務局長)と、地元は頭を抱える。原油高が続けば観光業界への影響は必至。「リピーター獲得に向け、さらに充実したサービスの提供を心がけているのだが」(同)と、集客につながる有効な打開策が見当たらず、焦りを募らせる。

 こうした中、地元金融機関の多摩信用金庫(東京都立川市)が、新たな取り組みを始めた。幼児発達教育を専門にする日本女子体育大学の大学生と協力し、子育てに悩む親とその子どもを対象にしたバスで行く日帰り自然体験イベントを企画。子育て支援を地域が抱える課題として解決に取り組み、同時に観光業の活性化も追求する事業だ。

 自由に遊ぶ場所が限られている子供たちに、自然に触れる時間を提供するとともに、子育ての悩みを共有できる親同士のコミュニティーづくりを図る。8月の4日間で親子約750人が参加。イベントでは地場の名産品も販売する機会も設けた。「こうしたイベントをきっかけに奥多摩地域の自然を魅力に感じたリピーターが増えれば」(陶山武夫多摩信用金庫調査役)と、今後も定番の企画にしていく。


【2008年9月2日 日刊工業新聞社】