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日本の農産品、アジアで脚光−「安全」「安心」が高評価

 日本の農産品がアジア諸国で脚光を浴びている。味や見た目などがいいことに加え、食の安全・安心や健康意識の高まりなども高評価につながっている。現地の価格水準と比べると、依然として日本の農産品は高級品だが、アジア諸国でも富裕層などの増加により、持続的に成長が見込めそうだ。追い風に乗って市場拡大ができるかに注目が集まっている。

 青森産のリンゴ、山梨県産のブドウ―。日本の産地を前面に押し出した農産品が小売りの店頭で並んでいる。価格は高めだが、品質の良さなどから店頭での認知度も高まっている。

 野村総合研究所が香港、台湾、シンガポールの3カ国で行った調査でも日本産果実を「よく見かける」「たまに見かける」という回答が3地域で6割を超え、台湾では「リンゴ」「ナシ」「モモ」などの食体験が5割を超えた。野村総研の名取雅彦上席コンサルタントは「日本産の認知度は間違いなく高まっている」と話す。

 だが、追い風の中でも輸出拡大に向けた課題は多い。商品にもよるが、現地の価格水準と比較して日本の農産品は2―2・5倍とも言われ購買層が富裕層に限定されている。また"棚料"などアジア特有の商習慣がある中で、商品を流通させるには地元の卸などとの協業が不可欠。だが「現地企業への補助が薄い」(名取上席コンサルタント)と指摘する。 アジア市場を巡っては、韓国や欧州などが高品質果物の輸出で攻勢を掛けている。競争が激化する中、現地企業を巻き込んだ流通体制の確立や日本産品を専門的に供給するサプライヤーの育成なども急務だろう。

 また日本の産地では「旬の果物などは国内中心。余ったものを売るという意識からか、現地で安定的に商品を確保するのが困難になっている」(同)状況だ。本格的に輸出するには産地の意識改革も必要だ。

 日本の農産品の輸出額は07年4337億円。輸出の本格的な取り組みを開始した04年以降、2ケタの伸び率を維持している。政府も日本の農産物などの輸出額を2013年までに1兆円規模へ拡大することを掲げており、官民上げての取り組みは今後本格化する。

 名取上席コンサルタントは「他地域も追い上げている中で輸出のルールができていない。油断すると機会をどんどん損失する」と指摘する。一層の市場拡大に向け、ブランドイメージを維持しつつ、購買層拡大を目的としたアピールが必要だろう。


【2008年8月5日 日刊工業新聞社】