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“反撃の”泉州タオル−生産量が16年ぶりに増加

 大阪府南部の泉州地域は、愛媛県今治市と並ぶ国産タオル2大産地の一つ。加工の最終段階で製品を洗浄する「後晒(さら)し製法」で知られている。安価な中国製品の流入により苦しい環境に立たされているが、今年に入って産地の総生産量が16年ぶりに前年を上回るなど明るい兆候が出始めている(大阪タオル工業組合調べ)。中国製ギョーザ中毒事件などを受け、消費者に中国製品への不信が広がる中、メーカー各社は安全・高機能を売りにしたタオルを開発。泉州タオルの反攻が始まった。(南大阪・鳥羽田継之)

 成願(大阪府泉南市)は、「豆乳タオル」や「ゲルマニウムタオル」など高齢者や女性の需要に応えた高機能タオルを開発している。一番人気は真珠パウダーを織り込んだ肌布団「エアーフィーリング」。仙波一昌社長は「注文が殺到して、久しぶりに工場を24時間稼働させた。最近の展示会でも大量注文をもらっており、勢いは夏以降も続くだろう」と笑顔を見せる。

 ツバメタオル(大阪府泉佐野市)は、製造工程で化学薬品をほとんど使わないため「食べられるほど安全なタオル」を生産している。中国製品に不信感が高まっている影響か、今年は「年明けから今まで、例年にない忙しさが続いている」(重里豊彦社長)という。重里社長は「国産品のメリットは高品質に加え、輸送コストやCO2(二酸化炭素)を削減できることもある」と語る。環境意識の高まりなどを追い風に、この勢いはまだ続くとみている。

 一風変わったアイデア商品は、金野タオル(大阪府泉佐野市)の「夏用タオルマフラー」だ。ガーゼを二重に織ることで、涼しい着心地を実現。橋下徹大阪府知事がテレビ番組で紹介したことで、全国から注文が殺到。春から全国の東急ハンズで販売も始まった。金野泰之社長は「今年は昨年の10倍の量が出ている」とホクホク顔だ。

 80年代以降、国内のタオルメーカーは中国製の安価なタオルにシェアを奪われ続けてきた。泉州地域も最盛時に700社近くあった会社が6分の1程度まで減少し「すでに国内企業だけでは需要をまかないきれない」(樫井学大阪タオル工業組合事務局長)状態だ。

 しかし中国製品と国産品との価格差は、中国国内の人件費上昇や原油高などで、徐々に縮まりつつある。高機能製品の販売、PRによって国産品の特徴がさらに広く知られるようになれば、泉州タオルは徐々にシェアを取り戻していくに違いない。


【2008年7月18日 日刊工業新聞社】