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近づく、つながる、東海北陸(上)産業・観光の活性化に期待

 愛知県一宮市と富山県砺波市を結ぶ東海北陸自動車道が着工から36年の歳月を経て、いよいよ5日に全線開通する。東海と北陸の両経済圏を直結し交通アクセスが良くなるため、沿線地域では開通による効果を期待する声が数多く聞かれる。東海北陸道全線開通による産業、観光の両面での影響を探ってみた。

 【約35分短縮に】

 東海北陸道は一宮ジャンクション(JCT、愛知県一宮市)―小矢部砺波JCT(富山県砺波市)を結ぶ全長185キロメートルの高速道路。工事が難航していた飛騨清見インターチェンジ(IC、岐阜県高山市)―白川郷IC(同白川村)間の24.9キロメートルが完成し全線がつながる。全線開通により、名神、北陸両高速道路経由に比べて時間は約35分短縮できるという。

 全線開通で自治体が期待するのが企業立地。東海と北陸の中継点に位置する岐阜県高山市は全線開通を「またとない好機」(高山市企業誘致推進室)ととらえ、東海、北陸両地域からの企業進出を見込む。そのため同市は07年4月に企業立地に対する助成制度を刷新した。新規雇用や固定資産税などに対する助成期間を、ほかの自治体の2倍以上にするという厚い制度だ。これにより自動車や機械関連企業を誘致する考え。富山県は県内26カ所の工業団地を東海地域の企業に売り込もうと07年から名古屋市で企業立地セミナーを開催。最近は注目度も高く参加者も増えてきたという。石川県は能登地区への企業誘致に期待を寄せる。商工業が盛んな加賀地区と農漁業が中心の能登地区の格差是正を図るチャンスととらえ、07年に専任担当者を配置、誘致活動を活発化させている。

 【拠点間の交流も】

 一方、愛知県は「県内に新しい道路ができるわけではないため、企業立地面ではさほど影響は出ない」(愛知県産業立地通商課)と冷静にとらえている。ただ結節点の一宮JCT周辺は「今より魅力は高まる」(同)とし、将来的に物流業などの進出を期待している。

 両地域に拠点を持つ企業もメリットを見込んでいる。石川県宝達志水町に大型軸受の生産子会社を設立し、09年10月の本格稼働を目指すNTNはそのうちの一社。マザー工場と位置づける桑名製作所(三重県桑名市)から一部製品を生産移管するだけに「両拠点間で重要となる人、モノの交流がしやすくなる」(井上仁NTN宝達志水製作所社長)と期待も大きい。

 【空港PRを強化】

 富山県高岡市が本社のトナミ運輸は、現在、名古屋方面への輸送には一般道を利用しているが、開通後は東海北陸自動車道を主力ルートとして活用する方針。富山と名古屋を往復する場合「ドライバーの拘束時間が現状の3日から2日に短縮できる」(トナミ運輸経営企画本部)とし、高速料金はかかるものの、稼働率アップが期待できるとしている。

 貨物取扱量の減少が続き、テコ入れを急ぐ中部国際空港にとっても全線開通は注目すべき出来事。「すぐに貨物が流れてくることはなさそうだが期待はできる」(中部国際空港広報)と話す。旅客についても全線開通に備えて07年に富山県と石川県の県庁を訪問したり、両県の旅行代理店に対し説明会を開いたりするなど空港のPRを強化してきた。全線開通後も人とモノの流れを見ながら、積極的に空港利用を売り込んでいく考えだ。


【2008年7月2日 日刊工業新聞社】