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地域資源活用チャンネル

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加速する中小の地域資源活用(下)

 《大手とパートナー》

 せっかく新商品をつくっても、中小企業はそのこと自体に満足して、在庫の山を抱える場合が多かった。だが、商品は売れてこそ意味がある。経済産業省と中小機構は、これまでにない販路を構築しようと、地域資源パートナーの仕組みを作り上げた。

 【可能性を重視】

 「今はだめでも、可能性をゼロにしないシステムにしたい」と強調するのは、パートナーに手を挙げた小田急グループの担当者。中小機構から新商品の提供があった場合に、発掘や評価、販路開拓や広報で総合的に支援する。商品が採用されなくても、何が不足しているかを中小企業にフィードバックする仕組みをつくろうとしている。

 この取り組みを百貨店やレストラン、広告・宣伝など小田急グループ10社が後押しする。中期的に目指すのは「沿線地域資源を活用した事業モデルつくり」。資源を軸に、従来にない高付加価値の商品開発を進める計画だ。

 参加することで、パートナーにもうまみがある。国分の担当者は、仕組みに賛同するメリットとして、「(地域資源)発掘作業の効率化」を挙げる。これまで地域の金融機関が企画した展示会などに足を運び、地域で眠る商品を地道に発掘してきた。しかし、この仕組みを活用すれば、「宝の山から一気に選び取ることができる」(中小機構)という。

 【サンプル配付】

 東京・銀座の駐車場の一角を使って地域資源の“お披露目の場”を設けたのは、ぐるなび。パートナーの活動として3月に「地域資源あおぞら市場」を開いた。同社のホームページ上にPRサイトを特設したほか、メールマガジンで案内し、ぐるなびに加盟している会場近隣の約1000店舗に呼びかけて集客した。甘納豆やアジの冷製薫製など、国の認定を受けた商品のサンプルを日替わりで配った。

 2日間のイベントでの総来場者数は1753人。出展者が聞いた来場者の声では、「試食も購入もできないことに憤る人がたくさんいた」「規模や品ぞろえが少ない」と今後の活動の課題となる意見があった一方で、「低カロリーの甘納豆(出展品)を早く商品化してほしい」「次はいつやるのか?」と、これからの取り組みに期待を寄せる意見もみられた。

 積極的なパートナーの出現に、中小企業の期待は高まる。しかし一方で、「パートナー制度を進めるうちに親企業と下請け企業のような構図ができては困る。重要なのは中小企業の可能性を広げること」(関係者)と危惧する声もある。

 とはいえ、地域の中小企業にとって自社の商品が首都圏で売れるという成功体験は大きな自信につながる。地域資源パートナーの仕組みが本格的に動きだす。地域活性化の処方せんが具体的に描かれようとしている。

 《テストマーケティングショップ「Rin」》

 地域資源の販路開拓手段としてテストマーケティングショップ「Rin(りん)」が東京・港区にオープンした。日本各地の四季折々の自然の美しさや、時代に育てられた知恵や伝統のすばらしさを都心に住む人たちが実感できる暮らしを提案する。ショップ名には、気持ちが引き締まった「凛」や、人として守るべきみちを意味する「倫」など、さまざまな思いを込めた。

 1階には伝統技術やデザイン、文化とその味わいを反映したインテリアや雑貨、家具などをギャラリー形式で展示・販売。2階は、食の体験コーナーとしてダイニングカフェスペースを設置した。日中はランチやカフェ、夜はダイニングとして利用できる。「お米は山形県庄内米、しょうゆは千葉県有機丸大豆大高醤油、みそは富山県山元醸造艶麗大豆味噌…」と安心・安全な食材にこだわった。

 3階は、情報発信やコミュニケーションの場として、定期的に地域資源ブロック別展示会などを実施する。

 Rinの主な事業の柱は、(1)店舗運営事業(2)商品プロデュース事業(3)店外活動事業(4)イベントプロデュース事業―の四つ。デザイナーと地域発の製造技術を引き合わせたり、商品を流通企業に紹介し、商品を販売する道筋をつけたりする。

 店舗には600点の商品を展示し、3カ月ごとに入れ替える。売れ行きランキングなども導入を検討しており、商品の競争力を高める工夫をしている。


【2008年5月5日 日刊工業新聞社】