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地域資源活用チャンネル

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加速する中小の地域資源活用(上)

 地域中小企業が大手企業とタッグを組む地域資源パートナー制度が動き出した。中小企業地域資源活用促進法で生み出した、特産物などの“地域資源”を使った新製品について大手の力を借りて販路を開拓する。地域・中小活性化の起爆剤として同制度に対する期待は大きいが一方で、「大手企業と下請け企業」の構造を新たに生み出す危険性を指摘する声もある。実効性ある取り組みにするためにも、きめ細かな国の支援が必要となる。

 《中小企業地域資源活用促進法》

 地域中小企業が地元の強みを生かして新製品や新サービスを生みだす取り組みに拍車をかけている。政府が07年6月末に施行した「中小企業地域資源活用促進法」では、08年4月時点で計328件の事業計画を認定。目標に据えた「5年間で地域振興の核となる新事業1000件創出」に向けて着実な一歩を踏み出している。

 これまで認定を受けた事業計画には、さまざまな地域資源が幅広く生かされている。農林水産物を生かした取り組みが123件。鉱工業品や関連生産技術を活用した取り組みが181件。さらに観光資源を利用した取り組みが24件となっている。鉱工業品関連の活用の伸びが目立つ。

 具体的には、欧米富裕層向けに江戸切子の照明器具を開発する事業や、浜名湖うなぎの粉末を原料に高級感を持たせたペットフードを開発する計画などが含まれる。いずれも「アイデアにあふれており、事業計画を眺めているだけでも楽しい」(中小団体関係者)と注目度が高い。

 今後、経済産業省・中小企業庁は一層の認定拡大を見込む。また、いち早く認定された事業計画については「早ければ今夏にも手応えを実感できるものが出てきそう」(経営支援課)と評価し、これを呼び水にして、さらなる応募の増加にも期待を寄せる。

 一方、地域資源を活用する取り組みが活発なのは国による支援と無関係ではない。同法施行に伴って創設した「中小企業地域資源活用プログラム」では、地域資源活用による取り組みを金融面からサポートする体制の構築などを盛り込み、すでに動きだしている。

 中小企業基盤整備機構は5年間で2000億円程度の資金枠を確保。産官で連携し、4月末時点で「やまがた産業夢未来基金」など25件の「地域中小企業応援ファンド」を相次いで創設した。地域中小の「やる気があっても資金繰りがつかない」という悩みを解消するだけに、取り組み促進の起爆剤にもなりそうだ。

 《地域資源パートナー制度》

 地元の強みを生かして新製品や新サービス生みだす取り組みへの支援は金融面だけにとどまらない。民間企業や大学が“応援団”となり、マーケティングや販路開拓などをサポートする「地域資源パートナー制度」が本格稼働している。4月末時点ですでにサッポロビールや国分、ぐるなびなど49企業・団体が同制度への登録に名乗りを上げた。3月末比で8企業・団体が増加。自社製品を説明する販売店向けの商談会などで、地域資源を活用した新商品を紹介する企業が出始めている。

 地域資源を生かして新製品を開発しても、売れなければ意味がない。こうした悩みが中小にはつきまとう。とりわけ、大消費地から離れた地域中小では一段と深刻だ。そのため、市場ニーズの把握や新製品の市場評価、マーケティングや販路開拓への支援は、のどから手が出るほど欲しい支援といえる。それだけに、中小企業庁が創設し、昨秋、本格的に動きだした「地域資源パートナー制度」にかかる期待は大きい。もちろん、中小企業庁としても5年間で新事業1000件創出は容易に達成できる目標ではないとの思いが根底にあり、さらに登録企業を増やそうと躍起になっている。

 一方、地域資源パートナーへの登録が、これまでのところ49企業・団体という状況には評価が分かれる。中小企業庁は鼻息荒く、当初の目標を100件に据えていただけに、一部に物足りなさを感じる向きがある。これに対し、中小企業庁は「パートナーにふさわしい企業をしっかり吟味して選んでいる」と強調する。

 企業の社会的責任(CSR)への意識が浸透する中で、大手各社が取り組みを進めており、今後地域貢献という観点からも登録が増加する可能性はある。地域資源を生かした新製品が市場で存在感を高めることで登録増加に拍車をかける。今夏にも出てくる地域資源活用による好事例の報告が待たれる。


【2008年5月5日 日刊工業新聞社】