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07年度「中小企業白書」を読む/脚光浴びる農商工連携

 中小企業が新たなネットワークづくりへの意識を高めている。これまでの産学官や異業種の企業間連携にとどまらず、製造業と農林水産業という産業分野の枠を超えた「農商工連携」にも熱い視線を注ぎ始めた。農商工等連携関連2法案の施行が間近に迫っている。地域間格差のみならず、地域内格差も顕在化する中で、格差是正をもたらす効果が期待されている。

 中小企業白書によると、農林水産業者との連携を求める食料品製造業者は全体の6割を超えた。逆に連携を避ける食料品製造業者はわずかにとどまった。地域では、これまでも農商工連携によるモノづくりなどが進んでいた。ただ、その支援に政府が本腰を入れたことで、さらに積極姿勢が顕著になったといえる。

 実際、先に経済産業省と農林水産省が共同でまとめた「農商工連携88選」には、連携の好事例を掲載。地元のサツマイモを原料としたビール開発や、IT活用による酪農用自動給餌(きゅうじ)システムの開発などを紹介した。今後の連携を促進するためのモデルケースにすることが狙いで、高まりつつある連携への気運に一層拍車をかける。

 農商工連携で具体的に要望することは「地域ブランドや商品ブランドの形成」と「原材料の直接購買」が目立つ。それぞれ49・3%と、48・7%を占めており、高い水準。これに次いで「トレーサビリティーの実現」(29・5%)となっている。不祥事が相次ぐ食品業界で、「食の安心・安全」への高まる関心を反映した格好だ。

 地域に占めるウエートが高い農林水産業は、地域活性化の起爆剤として期待される。それだけに、農商工連携による両者をつなぐコーディネートの役割が、ことのほか重要になってくる。また、生みだされた商品やサービスが市場に投入される時にどれだけ受け入れられるかも欠かせない要素となる。そのため、製品開発だけでなく、販路開拓にも農商工連携が機能することが求められる。

 農商工連携が成功事例を積み重ねることによって、その活用に一段と弾みがつく。政府や関連する団体などに対しては、こうした流れに拍車をかける支援が一層求められる。その先には、原油や原材料価格の高騰を乗り越えて、地域活性化によって勢いづいていく日本経済の将来の姿も見えてくる。


【2008年5月3日 日刊工業新聞社】