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小田急本厚木駅周辺、ビジネスホテル10軒が集客競争で火花

 小田急電鉄小田原線本厚木駅(神奈川県厚木市)周辺でビジネスホテル同士の競争が過熱している。ここ3年で新たに2軒が開業。徒歩10分圏内にビジネス客を対象とするホテル10軒がひしめく。ソニーや日産自動車など、市内に研究開発拠点を置く企業が各施設を大幅に増・新築する動きに歩調を合わせた形だ。過熱する集客競争の現場を追った。(相模・浅海宏規)

 【客層は研究所関係】

 もともと本厚木駅は、乗降客数で小田急全70駅中4位に入る。駅前のビジネスホテル数では、「新宿駅に次いで多い」(ホテル関係者)激戦区の一つ。とくに市内にある大企業の研究所の拡大や設立の動きに合わせ、ホテル進出が活発化した経緯がある。

 05年に、厚木市内で最大客室数(客室数236)の「ユーミーらいふ・パークイン厚木」ホテルが開業。「日産自動車などの研究所新設に対応した」(有泉功支配人)のが進出の狙いだった。平均稼働率は現在80%ほど。「宿泊客の30―40%は常時外国人で、外国人は長期滞在が多いのが特徴だ」と、有泉支配人。この傾向に対応し、法人向けに「1カ月程度の借り上げプラン」(同)を5月から提案する。 07年秋にオープンしたのが、「ホテルビスタ厚木」(客室数165)。三上智史支配人は「まだ駅前に宿泊需要があると判断した」と、最後発の立場から追い上げを図る。そのため、ギャラリー風のロビーなどデザイン性の高い内装にこだわった。「技術者などの宿泊客が多く、そうした人たちの感性に訴える」(三上支配人)ことで、他ホテルと差別化を図る考えだ。

 【老舗も新路線に】

 新規進出組に対し、既存ホテル側も負けてはいない。業績の伸び悩みを打破するため、1年半ほど前にソラーレホテルズアンドリゾーツグループ入りしたのが老舗の「ロワジールホテル厚木(旧厚木ロイヤルパークホテル)」(客室数163)。07年3月にリニューアルし、独自路線を模索する。

 嶋田健一総支配人は、「和洋中のレストランやブライダルなど、地域に密着したホテルを目指す」と宣言。ビジネス客の層も「管理職や外国人ビジネスマンを中心」(嶋田総支配人)に据えた。結果、リニューアル後の宿泊客単価は、「1000円ほど上がり、シングルで9300円」(同)になり、外国人の宿泊率も「35―40%を占める」(同)。高級感を出すことによる客単価の向上を狙う。

 【中心街の空洞化】

 競争激化の一方で、この地域には大きな懸念もある。それは「ビジネス需要うんぬんよりも、市内中心街の空洞化が心配」(嶋田総支配人)という問題。実際、2月にはロワジールホテルに隣接する厚木パルコが撤退し、跡地利用はまだ決まっていない。中心街区にも空き店舗が目立つ。「買い物後に当ホテルのレストランに来るという、シナリオが崩れつつある」と嘆く。

 また、隣の小田急海老名駅周辺には、6年前に大型商業施設「ビナウォーク」が登場。本厚木駅前から少なからず商圏を吸い上げている。新たなビジネス客を、どう市内の商業施設に取り込むか。市や商店街関係者は市街地の魅力再生に向けて、こうしたビジネスホテルと連携した取り組みも一つの検討材料といえそうだ。


【2008年5月2日 日刊工業新聞社】