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インタビュー/秋田・小坂町の川口博町長

 地方自治体が魅力的な町づくりを進める上で地域産業の活性化は重要課題だ。かつて鉱山の町だった秋田県小坂町は環境・リサイクルを軸に町づくりを進める。グローバル化の波で鉱山が閉山し危機にひんしたが、鉱業技術を生かして廃棄物から鉱物資源を採取する「都市鉱山」の町として復活を目指す。川口博小坂町長は「地域のいいものを磨いていけば経済につながる。地域独自の資源活用で具体的な町おこしを描く『逆ビジョン』を世界に発信したい」と力説する。

―鉱山の閉鎖で町の基幹産業が衰退しました。

 「85年のプラザ合意による円高の影響で鉱山が閉山した。どうやって町を再生するか模索し、世界の鉱山が閉山して再生に成功した事例を調べた。米国のアスペンは経営の研究拠点として成功したが、1950年代に石油化学工業がスタートし、企業経営の進展という時代背景があった」

―97年に循環型社会の構築などを盛り込んだ「小坂宣言」を世界発信し、3月に小坂宣言を進化させた「第二次小坂宣言」を披露しました。

 「町づくりは『小坂らしくやるしかない』と考えて取り組んだ。鉱山開発を通じ、我々は10年前に地球がこのままではもたなくなり、循環型社会の実現が大切なことに気付いた。10年前の認識がまさに現在の状況と合っている。3月に発表した第二次小坂宣言では、地域再生を頭の中の理想論ではなく、地域にある具体的なものを通じて描いた『逆ビジョン』として示した」

 「明治20年は石炭時代、昭和20年は石油化学工業時代、平成20年は循環型社会の始まりで、現在は時代のターニングポイントにあると思う。これからは生物の力を活用した生物化学工業の時代になると思っている」

―地域の活性化に必要な要素は何ですか。

 「今、地域にあるものを活用して、ないものを満たす工夫が必要だ。DOWAホールディングスさんのリサイクル技術が良い例で製錬技術を生かして電子機器から鉱物資源を採取できるようにした。地域に関連性がないものを造ると失敗する」

―6月に小坂町で環境サミットを開きます。

 「企業主導型の環境サミットにする。企業やNPOなど約70社・団体に参加していただき、環境と文化を発信していく。また、鉱山開発の負の部分を反面教師とし、世界の人たちが環境技術や環境経営を学ぶ場として『JICA大学』をつくりたいと思っている」

かわぐち・ひろし 72年(昭47)法大工卒。84年小坂町議会議員、90年小坂町長就任、現在5期目。秋田県出身、60歳。

【記者の目/これまでの欠点宝の山になるか】

 小坂町の変遷はグローバル化にさらされた産業の変遷であり、時代を映す鏡と言える。国内鉱業は一昔の産業だが、そこで培った製錬技術を生かして環境・リサイクル事業に衣替えすることで、時代をリードする。各地域はその特徴を改めて洗い出し、時代ニーズに合うように加工する必要がある。これまで欠点だと思われていたことが宝の山になる可能性がある。(村山茂樹)


【2008年4月15日 日刊工業新聞社】