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再興する秋田・小坂町−電子廃棄物から鉱物採取

 秋田県小坂町は地域資源を活用し、環境・リサイクル産業の育成や植樹による森づくりを進めている。小坂町は古くは鉱山の町として栄えたが公害や鉱山閉鎖で町が衰退。だが、鉱業技術を生かし、廃棄物から鉱物資源を採取する「都市鉱山」の町として復活しつつある。循環型社会の実現に向けた取り組みが活発になる中、小坂町は世界的に需要が高まる鉱物資源により、一躍時代の先端を行く地域になる。(村山茂樹)

 「地球に優しい循環型社会の構築のための技術発展を推進します」。小坂町の川口博町長は今月13日に町内で開いたシンポジウムで「第二次小坂宣言」を発表した。同宣言は、循環型社会の構築やワークライフバランスの実現など、小坂町が産学官の連携で取り組む目標を示している。

 小坂町の循環型社会の構築の実現で、核となるのがDOWAホールディングス(HD)のグループ会社である小坂製錬だ。小坂製錬の製錬技術により、電子機器などから金や銀など各種の鉱物資源を回収している。世界的に鉱物資源の需要が拡大し、獲得競争が激しくなる中、「都市鉱山」の重要性が高まっている。鉱物を自然の鉱山で採取するより電子機器から採取した方が含有量が多い。

 「足元に宝があった。ここを発掘してビジネスにしようと思った」。DOWAHDの吉川廣和会長は、鉱物資源のリサイクル事業の有効性を力説する。

 一方、小坂町は森づくりにも力を入れる。かつての鉱山開発により、一帯の山ははげ山になっているからだ。横浜国立大学の宮脇昭名誉教授の指導のもと植林活動を進める。宮脇名誉教授は「社会貢献と言わずに、生き延びるために木を植えていただきたい」と強調する。すなわち、中長期でみれば森の破壊が地球の破壊、人間生活の破壊につながるからだ。

 小坂町は鉱物資源を通じて循環型社会の構築に踏み出した。小坂町という一地域の取り組みが、鉱物資源の重要性や地球環境の保全など、時代の動きと連動している。小坂町と共同でシンポジウムを開催した経済産業省の前田泰宏文化情報関連産業課長は「小坂の地から日本の将来を見ることができる」と、地方発の取り組みに期待を寄せる。


【2008年3月20日 日刊工業新聞社】