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地域資源を磨く・中小機構の取り組み(6)近畿支部−流通ルートの合理化支援

 近畿地域は独自のモノづくり技術を持つ中小企業が多く集積、地域資源活用プログラムの認定件数35件のうち鉱工業品の生産技術が24件を占める。認定事業は目標の25件を10件上回り、井上泉中小企業基盤整備機構近畿支部長は「08年度早々に立ち上がる事業も多い」と期待する。

 その一つが林撚糸(和歌山県橋本市)の、特殊な撚糸(ねんし)技術を生かした耐熱手袋。大手鉄鋼会社の「溶接火花にも負けない軍手ができないか」という要請で、アラミド繊維と綿糸を編み込んだ耐熱性に優れ滑りにくい手袋を開発した。

 価格は綿軍手に比べ約5倍だが、火花を通さず、革製と比べ通気性もよく、洗濯が可能。防寒機能も高く、山岳用の引き合いも舞い込んでいる。手袋のほか織物生地として販売する計画で、外国製品に押される地元の期待も大きい。松田正夫プロジェクトマネジャー(PM)は「今後販売の仕組みをどう作るか」を課題に挙げる。

 250年以上の歴史を持つ和装絹織物「浜ちりめん」を使ってウエディングドレスを作る騒人(滋賀県長浜市)。白生地の質感、風合いを生かせるものとして開発した。有名デザイナーと連携し新しいデザイナーズブランドを立ち上げ、09年2月の展示会に出品する予定。「流通ルートの合理化によるコストダウン」(松田PM)が販路拡大の成否を握る。

 水道水を約10分かけるだけで解凍できる冷凍マグロの加工方法を開発したのは、生マグロ水揚げ日本一の和歌山県那智勝浦町のヤマサ脇口水産。解凍時間は従来の約6分の1で、細胞破壊がほとんどなく、ドリップ(液汁)も出ない。「安定供給が可能」と地元の期待も大きい。大手企業から提携の話もあるが、「イニシアチブを持って販売体制を確立する」(樽谷昌彦PM)考え。

 PMが日ごろの支援で心がけるのは、本当に何がしたいのか見極めるため「相手の話を良く聞く」(樽谷PM)こと。経営者が技術開発から財務、販路開拓まで一手に引き受けて身動きできない状態にあることも多い。ビジネスチャンスを逃すこともあり「人材確保・育成の重要性」(樽谷PM)を説いている。


【2008年3月17日 日刊工業新聞社】