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地域資源活用チャンネル

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産業春秋/「農商工連携」

 「正直者が丹誠込めて作りました」。自宅の近所を散歩していたら、こんな張り紙がしてある無人の野菜直売所を見つけた。店棚には袋詰めのブロッコリーやほうれん草、菜の花が。代金は賽(さい)銭のように「どれも100円」と書かれた小さな木箱に入れる▼農林水産省と経済産業省は08年度から「農商工連携」を促進する。農林水産品や工業技術、観光などの地域資源を活用して新事業に取り組む小規模企業や農家を、全国200―300カ所に新設する支援拠点がきめ細かく指導する▼地域資源の掘り起こしから、製品開発、販路開拓まで継ぎ目なく支援するのは新しい試み。役所間の風通しの悪さが影響したのか、地方経済の低迷が続くなかで、ようやくという感じがしなくもない▼連携には地域振興だけでなく、都市を“耕す”手がかりが潜んでいそうだ。質朴で実直な農の精神をもって、大量生産・大量消費がもたらす均質化の洪水から都市文化を“救済”できないか▼食べておいしいだけではない。環境にやさしく地域の歴史が詰まった、考えてもおいしい食づくり。都会人が自然と寄り添って生きる術を取り戻せたら…。農商工連携にそんな夢を託したい。正直者が育てた菜の花は、おひたしにするとほろ苦く、春を先取りしたような、ちょっと贅沢(ぜいたく)な気分になった。


【2008年2月18日 日刊工業新聞社】