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神戸の真珠業界、産業促進に躍起−新たな需要を開拓

 【神戸】世界の真珠加工・卸業者の約70%が集積する神戸で、真珠産業を盛り上げようと新たな試みが始まっている。07年には真珠の最終商品を開発する狙いで、中小加工・卸の約20社が結集してグループを発足。さらに地域交流の一環で、地元小学生に真珠の生産工程を教える事例も出てきた。1907年に日本で丸い形の真円アコヤ真珠が発明されてから、100年。この歴史の重みが、業界のメンバーを動かしている。

【危機意識】

 真珠養殖技術は日本の"お家芸"で、養殖場は三重県や愛媛県、長崎県などに多い。ただ水質汚染や後継者不足による養殖業者の減少などで、アコヤ真珠の国内生産量は年々減少している。バブル期に800億円程度あった年間生産額は、現在200億円以下。一方で豪州の黒蝶真珠、中国の淡水真珠などの養殖技術の国際化により、海外の生産量が急増。養殖地の国際化に伴って海外の加工技術も向上しており、国内の業者は危機感を強めている。

 07年4月に発足した「神戸イノベーションパール・グループ」(神戸市中央区)は、最終製品を作って百貨店などへの展開を目指している。現在の真珠購入層は50代以上が中心。同グループは神戸芸術工科大学の学生がデザインするなど、20―30代の若い購入層をターゲットにする。グループ代表の高橋洋三氏は「アクセサリー感覚の製品を作って新たな需要を開拓したい」と意気込む。

【地域交流】

 地場産業とはいえ、これまで地域交流への意識は希薄だった。神戸市兵庫区内の市立小学校(10校)のPTA有志が主催する「兵庫運河真珠貝プロジェクト」は、地域住民が真珠の養殖からアクセサリー作りまで一貫して体験できる初めての試みだ。07年6月から08年1月にかけ、約100人の保護者や子供たちがアコヤ貝に真珠の芯(しん)となる核入れ、貝から真珠を取り出す浜揚げ、採取した真珠を使ったアクセサリー作りと、一連の工程を体験した。アコヤ貝の提供や養殖方法指導など技術面で協力した大月真珠(神戸市中央区)は「真珠産業を知ってもらう絶好の機会。今後も協力は惜しまない」と話す。

【再び脚光】

 アコヤ真珠は中国でも養殖されているが、独特の光沢は日本製しかないという認識も広がっており「国産真珠が再び脚光を浴びている」(伊吹三樹雄日本真珠輸出組合専務理事)と関係者は市場の空気を読む。広報活動を行うパールシティー神戸協議会(神戸市中央区)の中村哲也議長は「業界が団結して産業振興に注力する仕組みも必要」と、今後の課題を指摘する。真円真珠誕生から101年目の08年、業界に新風を起こす活動が神戸の真珠業者に求められている。


【2008年2月4日 日刊工業新聞社】