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関西リポート/国内歯ブラシ産業、昨年生産10億本−3年で倍増

 歯ブラシ産業が活況だ。全日本ブラシ工業協同組合(会員73社、大阪府東大阪市、稲田眞一理事長)によると、07年の国内メーカーの歯ブラシ生産実績(見込み)は約10億本と過去最高になり、04年から倍増。口内環境を健康的に保つオーラルケア志向が女性や中高年に高まり、歯ブラシの消費につながった形だ。これを受け国内の歯ブラシの60%以上を生産する大阪府八尾市や東大阪市の中小歯ブラシメーカーも、増産体制の整備や新製品開発で活気づいている。(東大阪・吉川一成)

 【デザイン一新】

 大手メーカーに歯ブラシをOEM(相手先ブランド)供給する三和歯刷子工業所(八尾市)は「この2年間で柄の成形機や植毛機など1億円ほどの投資を行った」(谷口啓司社長)。植毛などの技術者の確保も順調で、増産体制の整備を進めている。

 歯ブラシの毛の材質などを工夫した高付加価値商品の売り上げも伸びている。プラチナコロイドセラミックスを含有した毛色の黒い歯ブラシ「フレッシュブラックハブラシ」を製造する大平工業(八尾市)は、ここ数年間で販売数が倍増。05年春にパッケージを、ブラシの歯こう除去効果を強調するデザインに一新した。歯ブラシに付加価値を求める消費者に受けて、売り上げが急拡大した。

 【マーケット開拓】

 子供用歯ブラシのOEM供給を行うカワキタ(東大阪市)は、07年12月にデザイナーと提携して、大人向けの携帯用折りたたみ歯ブラシを発売。高級雑貨コーナーを販売チャンネルとするなど、新たなマーケットを開拓しつつある。

 昨今、問題化している中国プラスチック製品の安全性や品質管理も、国産歯ブラシに追い風となっている。2―3年前からホテル向けなどの使い捨て歯ブラシなどで相次ぎ欠陥商品が見つかり、高品質で安全な国産歯ブラシを求める声が一気に高まった。

 全日本ブラシ工業協同組合は06年4月から品質保証規格として「SafetyBrush(SB、セーフティーブラシ)」マークを設定。中小ブラシメーカーの品質アピールを支援している。引っ張り強度などの試験で合格した製品に与え、これまでに約200種類の製品がマークを取得するなど活用が広がっている。

 同組合の稲田理事長は歯ブラシの売れ筋を「海外などで大量に生産される低価格品と、国内生産を中心とした高品質製品に2極化している」と分析する。自らが経営する稲田歯ブラシ(東大阪市)では、4人の担当者が出荷する歯ブラシを1本ずつていねいに検査するなど、品質管理に神経をつかっている。

 【まだまだ成長】

 歯ブラシ業界にとって原油高による材料費高騰の影響は痛いが、市場自体は「消費者のオーラルケア志向の高まりから、まだまだ成長する」(稲田理事長)との観測が支配的。江戸時代からの伝統産業だった河内木綿の技術基盤から派生した八尾の歯ブラシ産業。"高品質"を売りにした歯ブラシメーカーの製品開発や事業展開が、今後も関心を集めそうだ。


【2008年1月21日 日刊工業新聞社】