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地域資源活用チャンネル

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クラスター新時代(10)"仕掛け"から"実績づくり"へ(下)

 【課題は販路拡大】

 着実に製品開発や新技術を生み出す各クラスターだが、今後の課題は商品をどう売るか。販路拡大が重要な課題となる。これまでクラスター計画は、供給を増やすことに政策の力点が置かれてきた傾向が強く、今後は需要をどう創造するか、商品や技術を"流通"させる仕組み作りも重要で、売るための政策立案も不可欠だ。富の再配分が進むことで初めて地域活性化の道筋が見えてくる。

 「地域おこし」的な意味合いも持つ産業クラスターだが、01年の立ち上げ以降6年を経過した現在でも、一部の地域では地域の底上げにつながっていない現実もある。「理想と現実」のギャップも指摘される中、いかにクラスターが地域経済を下支えできるか。産業クラスタープロジェクトは今後、"仕掛け"段階から"実績づくり"が重視される局面を徐々に迎える。新時代に突入した産業クラスターが担う役割は、より大きくなっていく。

 【経済産業省地域経済産業審議官・勝野龍平氏に聞く】

 黎明(れいめい)期から成長期に突入した産業クラスター計画。地域活性化が福田政権の最重要課題に位置づけられるだけに、クラスターが果たす役割はより大きくなっている。今後、産業クラスターはどんな方向性を見いだすのか。旗振り役である経済産業省の勝野龍平地域経済産業審議官に聞いた。

 ―クラスター計画は第II期に突入しました。

 「これまでに1万700社の中堅・中小企業、290の大学、100の公設試験場など、1万3000の関係機関が参加している。01―05年度の第I期で5万件の新事業が生まれ、当初想定した成果が上がっている。ただI期での課題は、事業化が少し手薄だった。とくに大企業との連携が不十分。大企業も約700社が参加しているだけに、大企業が参加する事業化の仕組みづくりが課題となる」

 ―事業化に結びつけるための具体的な仕組みも構築されています。

 「関西で大手情報家電関連メーカー16社が参加し、ベンチャー企業、中小企業の技術を大手企業につなぐ『情報家電ビジネスパートナーズ』という試みがスタートしている。中小企業が提案した技術が事業化に結びつかなかった場合でも、技術をどう評価したのか、何が不足だったかを大手企業に評価してもらう"キャッチボール"の仕組みをつくった。実際の実績は2件とまだまだこれからだが、間口を関東、中部などにも広げており、全日本規模で提案できる仕組みが構築されつつある」

 ―クラスター計画の方向性は。

 「産業クラスターの取り組みに対して海外からの関心が非常に高い。各地域のクラスターが一堂に会した展示会『クラスタージャパン』には欧州委員会が視察に来ている。個別のクラスターの海外交流も活発で、今後は国内外を問わず、クラスターの広域化が重要になる」

 「クラスター計画のゴールは、"イノベーション"を通じた新産業と新事業の創出だ。11月の総合科学技術会議で福田康夫首相は、科学技術による地域活性化についての具体的な戦略構築を掲げている。これはまさにクラスター計画そのもの。これまでの実績を再評価し、地域再生に向けた新たな可能性を追求していきたい」(おわり)

 (この連載は山下裕子が担当しました)


【2007年12月20日 日刊工業新聞社】