HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

クラスター新時代(10)"仕掛け"から"実績づくり"へ(上)

 イノベーションを通じて、新産業・新事業を創出する―。地域力、ひいては国際競争力向上の担い手となる産業クラスターは、新たなステージに突入している。成長の時代を迎え、"地域発"の新商品や新技術は着実に増加している。大企業や大学との連携、海外クラスターとの交流、農業や水産業など異業種とのマッチングなど18のクラスターは独自色を打ち出しながら、地域力底上げに寄与し始めている。今後は開発した商品や技術の訴求力をいかに高めるか、事業化をどう促進するかなど課題も残る。次なる成長に向けて産業クラスターは新時代を迎えている。

 【農商工連携の先駆け】

 経済産業省と農林水産省が手を結び、地域再生の切り札として取り組んでいるのが「農商工連携事業」だ。農業と商業・工業の融合化を目指す試みだが、すでに産業クラスターの中で具現化しているケースもある。

 農業との連携に先駆して取り組んできたのが静岡県と長野県、愛知県の3県にまたがる三遠南信バイタライゼーション協議会。05年8月に発足した農工連携研究会では、会員企業が静岡大学と連携し、農林水産物の栽培管理や鮮度管理などのデータ収集のため、誰でも計測できる「可搬型近赤外分光装置」を開発している。

 【進む広域化】

 クラスター連携の広域化も進んでいる。東葛川口つくば(TX沿線=つくばエクスプレス)地域新産業創出推進ネットワークは、千葉県東葛地域と船橋地域、埼玉県川口地域、茨城県つくば地域、都内TX沿線地域でクラスターを形成。沿線の研究機関を活用した技術開発支援は01―06年度で83件の実績を持つ。

 山梨県と長野県を横断するのが中央自動車道沿線地域産業クラスター推進協議会。"精密の地"で02年から開催される「諏訪圏工業メッセ」は年々規模を拡大しているほか、波及効果として諏訪圏共同物流システムづくりにも着手。原材料価格が高騰する中でコスト低減を進める解決ツールの一つとなっている。

 首都圏北部地域産業活性化推進ネットワークや京浜地域クラスターフォーラムは、首都圏産業活性化協会(TAMA協会)などとの連携機会を設け、技術の高度化、研究開発の促進、事業化の発展を進める。

 同フォーラムを支援する小泉幸洋川崎市産業振興財団産業支援部長は、「TAMAとクロスする地理的優位性を生かして、世界に通用する新産業創出拠点を目指す」意向だ。

 【他地域との共生】

 「中小企業が新しいことに挑戦する際、そのリスクを軽減するのが我々の使命」と、TAMA協会の岡崎英人事務局長は強調する。同協会は98年に発足、これからの10年は"他地域との共生"をテーマに掲げる。経産省にも「取り組みが先進的なクラスターの一つ」と評される。特徴的な取り組みは、中小企業が開発した製品の海外での販路開拓支援だ。

 現在、イタリア、中国、米国、韓国とネットワークを結ぶ。中小企業が海外進出する場合には大きなリスクが伴うが、さまざまなノウハウを提供し、進出を促す。国内市場のパイが限られる中、海外市場も見据えた研究開発は重要となる。


【2007年12月20日 日刊工業新聞社】